帝人の機能繊維「ソロテックス」が人気のワケ ジャケットやパンツなどで採用相次ぐ

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日本の化繊メーカーは近年、衣料用分野で高機能繊維(素材)の強化を推し進めている。なにしろ、通常のポリエステルなど汎用化繊は安さが最優先され、コスト競争力の高い中国企業が席巻。日本勢が生き残るには、技術で差別化した高機能繊維を武器に戦うしかない。帝人グループで繊維事業を担う帝人フロンティアも置かれた状況は同じだ。

優れた機能性を消費者にもアピールするため、専用のサイトを開設するほどの力の入れようだ(ソロテックスのサイトから引用)

帝人フロンティアの衣料用繊維は年商約1200億円規模で、今の稼ぎ頭は独自技術を駆使した高機能繊維「デルタ」。ふくらみがあって触感がやわらかく、アディダスなど有名スポーツブランドのシャツに多く採用されている。ソロテックスはそれに続く新たな柱で、「デルタと並んでテキスタイル(生地)事業の成長を担う戦略素材」(東本部長)の位置付けだ。

素材のバリエーションを拡大

その販売を伸ばしていくため、高ストレッチタイプだけでなく、ソフト感を重視した生地や天然素材との混紡生地、さらには編み方・織り方が異なるタイプなど、素材のバリエーションを積極的に増やしている。昨年末には蓄熱・保温機能を持たせた「ソロテックスTHERMO(サーモ)」を発表し、2018年秋冬物での採用に向けた営業活動を始めた。

今後は海外ブランドによる採用も増えていく見通しだ。「これまでは国内のお客さんを中心に提案してきたが、欧米のラグジュアリー系やスポーツ系ブランドからも引き合いが増え、複数の商談が進んでいる。欧州、北米のファッション・アパレル業界でもソロテックスの認知度を上げていきたい」(東本部長)。

現在、帝人フロンティアはソロテックスのPTT原糸を台湾、中国の協力工場から調達し、日本と中国で生地化する生産態勢を敷いている。海外ブランドへの販売拡大をにらみ、今後は海外の生地加工拠点を増やし、供給能力を引き上げる考えだ。また、次世代ソロテックスの商品化を目指しており、そうした先端品専用のPTT原糸をタイの自社工場で製造することも検討しているという。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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