「大地震」その時に足りない仮設住宅のリアル 懸念の南海トラフ地震に必要なのは205万戸

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大規模災害により住宅を失ったら…(撮影:岡田広行)

2011年3月11日に起きた東日本大震災から丸7年。明後日は東日本大震災の痛ましい記憶を振り返りながら、将来に向けて防災を強く意識する日と言ってもいいだろう。

地震大国ニッポンに住んでいる以上、いつどこで大地震に見舞われても不思議ではない。大地震の正確な予測はほぼ不可能という事実はありつつも、かねてから政府が発生を懸念している大地震の1つに「南海トラフ地震」がある。

駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側海域や土佐湾を経て日向灘沖までのフィリピン海プレート、ユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域を「南海トラフ」という。

この南海トラフ沿いのプレート境界を震源とする大規模な地震が「南海トラフ地震」だ。南海トラフ地震は、過去おおむね100~150年間隔で繰り返し発生している。その発生間隔にはばらつきがあるものの、気象庁のホームページには「昭和東南海地震及び昭和南海地震が起きてから70年以上が経過しており、南海トラフにおける次の大規模地震の切迫性が高まってきています」との記載がある。

仮設住宅が約205万戸必要になる

この南海トラフ地震がもし起こってしまったら、それも現在、想定しうる最悪レベルの規模だった場合、東日本大震災をはるかに上回る大混乱に陥る可能性がある。その1つが被災者の住まいの問題だ。あくまでシミュレーションながら「住む場所が当面まったく見つからない」被災者が数百万人単位、世帯数にしても100万単位に上る可能性がある。

昨年7月、内閣府の有識者会議がまとめた報告書は、それほどショッキングな内容だった。マグニチュード9クラスの南海トラフ地震が発生すれば、最大約500万棟の建物が全半壊し、大規模災害により住宅を失った人のために、国や自治体が用意する応急仮設住宅(以下、仮設住宅)は約205万戸必要になるとしている。

全半壊の予測値は東日本大震災の被害(約40万戸、非住宅も含む)の約12.5倍である。このほか、首都直下地震においても最大約128万棟が全半壊し、約94万戸の仮設住宅が必要になると試算している。

2011年に発生した東日本大震災では建設5万3194戸、借り上げ6万8645戸の合計12万1839戸の仮設住宅が供給された。205万戸はその16倍超、首都圏の94万戸だけでも同7倍超にも当たる数字である。

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