中国全人代開幕、18年成長目標6.5%で維持 金融リスク引き続き注視
[北京 5日 ロイター] - 中国は、2018年の国内総生産(GDP)伸び率の目標を昨年と同じ6.5%前後に設定したと明らかにした。李克強首相が5日の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)開幕に合わせて政府活動報告を行った。
2017年の成長率は6.9%となったが、18年も目標を据え置いた。
エコノミストは今年の経済成長が鈍化すると予想。政府が企業債務の縮小に取り組んでいるほか、環境汚染対策や住宅市場の過熱抑制により重工業や不動産分野への投資が失速するとみられる。
加えて、米国との貿易摩擦が今年の最大のリスク要因として浮上してきた。トランプ米大統領は先週、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動する方針を表明し、中国や欧州、カナダなどの主要貿易相手国が報復措置を講じる可能性が強まった。
これに対し、李首相は保護主義に反対する意向を示し、交渉による問題解決を呼び掛ける一方、正当な権利と利益を「断固として保護する」と強調した。
リスクコントロール強化
また、李首相は基本的に安定した人民元相場を維持すると表明した。
コメルツ銀行のシンガポール駐在アナリスト、周浩氏は「中国は向こう1年間の政策基調を総じて引き締め気味とした。金融のデレバレッジが注目を集めそうだ」と述べた。
李首相は中国経済のリスクは「総じて制御されている」としつつ、地方政府の債務といった問題を解決するにはさらなる努力が必要だと指摘。シャドーバンキングやインターネット金融、金融持ち株会社への監視を強化し、金融業者のリスクコントロールを高める方針を示した。
積極的な財政政策を維持する一方、財政赤字をGDP比2.6%に引き下げるとした。引き下げは2012年以来となる。17年は3%だった。
中国政府が金融リスク対策を進める中で、財政支出への警戒を強める姿勢が浮き彫りになった。