中国全人代開幕、18年成長目標6.5%で維持 金融リスク引き続き注視

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ANZ(香港)の中国担当シニアエコノミスト、ベティー・ワン氏は「政策的に今回の報告は引き締め的な内容だ。予想どおり政府は改革を予定どおり断行している」と述べた。

また「(財政赤字の対GDP比目標は)われわれの想定よりもさらに低い。(対GDP比)2.6%の財政赤字は絶対値では約2兆3000億元(3635億ドル)となり、2016年と同水準だ。レバレッジ抑制に対する政府の決意を示している」と述べた。

李首相は、今年の輸出入量は一定の増加が見込まれるとし、前年と同様の見方を示した。3年連続で輸出目標は掲げなかった。「世界的に景気回復が継続すると見込んでいるが、不安定と不透明につながる多くの要因がある」と述べた。

その上で「主要国での政策変更とその波及効果が不透明につながる。貿易保護主義は拡大しており、地政学リスクも高まっている」と指摘した。

金融政策は中立

また、穏健な金融政策を中立に維持する政府の姿勢をあらためて強調。金融政策は過度な緩和や過度な引き締めにならないようにし、適度に安定した流動性を維持するとした。

今年のマネーサプライM2と社会融資総量の伸び率については、目標には触れず、理にかなった成長を見込んでいると指摘した。

国家発展改革委員会は全人代開幕に当たり公表した報告書で、今年の社会融資総量とマネーサプライM2の伸び率が17年と同程度となるとの見通しを示した。

昨年の社会融資総量は目標通り12%増となった一方、M2の伸び率は8.2%に低下し、目標の12%前後を下回った。

ANZのワン氏は「私の記憶が正しければ、これらの具体的な目標が示されなかったのは20年ぶりだ。中国当局が金融政策でさらなる引き締めスタンスを志向していることを示している」と指摘。「全体として金融・財政政策は昨年よりも引き締められそうだ。政府が金融のレバレッジや経済全体の債務水準を制御したいと考えているためだ」と述べた。

中国はまた、消費者物価指数(CPI)目標を大方の予想通り「3%前後」とした。

全人代では、習近平国家主席(共産党総書記)の盟友である王岐山・前政治局常務委員もひな壇に並んだ。同氏はトランプ米政権対応での国家副主席起用が見込まれている。

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