インテリアは悪路走行や車両感覚の掴みやすさにも役立つ三菱伝統の水平基調のデザインを踏襲するが、デザイン/質感共に大きく進化。また、三菱初採用のヘッドアップディスプレイや薄型ディスプレイオーディオ、タッチパッドコントローラー(世界初Apple CarPlay対応)など、最新デバイスも積極的に採用するなど、ここ最近の消極的だった三菱車とはちょっと違う。
クーペスタイルというと「カッコ優先で居住性は二の次」と思われがちがだが、緻密なパッケージングによってカッコよさを損なわずにリアシートは十分なヘッドクリアランスを確保。200mmのロングスライド&9段階調整のリクライニング機構の採用も相まって、見た目以上に広く快適なリアの居住スペースと積載性を実現しているのもポイントだ。
三菱初となる「4B40」を搭載
エンジンは三菱初となる排気量1.5Lのダウンサイジングターボ「4B40」を搭載。最高出力150馬力、最大トルク240Nmを発揮する。低中速からレスポンスよく立ち上がる豊かなトルクと高回転まで気持ちよく回る特性はいい意味でターボらしくない自然なフィーリングである。スペック的にはアウトランダーなどに搭載される2.4Lの自然吸気(NA)エンジンに近いが、力強さや扱いやすさは雲泥の差だ。
また、トランスミッションは無段変速のCVTながらメリハリのある制御はドライバビリティの高さはもちろん低μ路でのアクセルコントロールも楽。われわれ日本人よりもCVT嫌いの欧州自動車メディアも高い評価をしたそうだ。
ちなみに欧州向けには2.2Lのディーゼルターボ+8速ATも用意されるが、日本へは遅れて投入予定のようだ。事前には「PHEVは技術的には搭載可能だが、アウトランダーとキャラクターが異なるので採用しない」と聞いていたのだが、発表会の席では益子修CEOは「コアモデルは何らかの形で電動化していくが、PEHVも検討したい」と語っている。
プラットフォームはアウトランダーがベースながらも、カウルトップ、スプリングハウスなどの骨格の剛性アップと合わせて、3点止めのストラットタワーバーやドア開口部/テールゲート開口部/リアホイールハウスなどに構造用接着剤の採用と、エクリプス クロス専用に最適化。さらに細部にわたり最適化を図ったサスペンションとS-AWCの組み合わせにより、奇をてらわず安心して楽しめるドライブフィールを目指したそうだ。
実は、エクリプス クロスにはあの「ランエボ」(ランサーエボリューション)のDNAが埋め込まれている。余談だが、ランエボの名前を知らない自動車好きはほとんどいないだろう。セダン系の「ランサー」(最終モデルの日本名は「ギャランフォルティス」)の車体にハイパワーなエンジン、強靱な足回りや先進の車体制御技術などを与え、専用の内外装で固めたクルマだ。1992年10月に初代が登場。ファンを中心に一部で絶大な人気を誇り、10代目までモデルを重ねたが2015年に生産中止後、現在は復活に向けた動きがある。
その歴代ランエボの駆動力制御を担当し、「ミスターAYC」と呼ばれた澤瀬薫氏をはじめとするランエボ開発主要メンバーの多くが、エクリプス クロスに関わっている。
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