エクリプス クロスに実際乗ってみると、細かい操作に対してクルマは裏切らずに正確に反応する。足はよく動くうえにストロークもあり4つのタイヤを上手に使っている。路面からの情報もステアリングからシッカリ伝わるので、「まだ行ける?」「もう限界なのか?」という判断もしやすい。
S-AWCのハードは電子制御カップリング式AWD+ブレーキAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)+ACD(横滑り防止装置)+ABSとライバルモデルも採用する比較的シンプルなシステムだが、S-AWCのポイントはハード(=システム)ではなくソフト(=頭脳)で、「ランエボⅩ」で培った四輪駆動統合制御技術がフィードバックされている。
三菱のこだわりは、シチュエーションに応じて制御を変えるのではなく、いろいろな場面を想定してピッタリな制御(3モードの切替はあるが)を行うことだ。たとえば雪道のような低μ路の場合、普通に走らせていれば何事も起きない安定志向のハンドリングだが、ドライバーがアクションを起こせば豪快にテールを振り回して楽しむことも可能だ。
つまり、意図しないスライドは抑えるが、意図するスライドは許容する……そんな引き出しを残している部分も “三菱らしさ”の一つである。この懐の深さはまるで人間の心を読んでいるかのような巧みな制御である。これぞランエボのDNAである。
エクリプス クロスはそのデザインやキャラクターからオンロード主体と思われがちながら、三菱のSUV-DNAはシッカリと受け継がれており、最低地上高は175mm、アプローチアングル20.3度、ディパーチャーアングル30.8度とオフロード性能も抜かりない。もちろん、三菱のCMでもおなじみの45度登坂路も軽々と登るだけでなく坂道発進も可能だ。
今やデフォルト装備となりつつある安全運転支援システムは「アクティブスマートセーフティ&スマートドライビングアシスト」を採用。プリクラッシュブレーキ、アダプティブクルーズコントロール、AT誤発進(後退)抑制制御を持つ。後側方車両検知警報システム、オートマチックハイビームなどを一通り用意する。
“三菱らしさ”が戻ってきた1台
このように、エクリプス クロスは「見た目」や「走り」から三菱の本気度が伝わり、元気だった頃の“三菱らしさ”が戻ってきた1台といえる。
とはいえ、三菱ブランド復活のスタートは始まったばかり。燃費不正問題発覚後、ブランドイメージは落ちるところまで落ちてしまったので、その信頼を取り戻すにはまだまだ時間がかかるだろう。ただ、自動車メーカーである以上はいいクルマを提供するのが何よりの信頼関係回復に繋がる。
そういう意味ではジュネーブショーで発表予定の大幅改良版の「アウトランダーPHEV」 2018モデルやスクープ誌を賑わせている次期「デリカD:5」なども期待したいところである。
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