「中目黒-池袋」IC乗車券が90円以上安いワケ IC運賃ルールで鉄道会社「収入ゼロ」の例も…

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また、北千住駅―錦糸町駅間を東武伊勢崎線・半蔵門線(押上)経由で利用する場合、現金運賃では押上駅接続・東京メトロ線錦糸町駅までの乗車券340円を購入する必要がある一方、IC運賃の場合は東京メトロ線のみの運賃237円が下車時に引き去られる。東武線・押上駅経由の運賃について、東武鉄道広報部は「IC乗車券利用の場合、後日東京地下鉄から運賃の分配を受けている」と明かす。

このように、IC運賃の最短経路適用ルールは旅客にとっては有利ではあるが、鉄道事業者にとっては運賃収入が得られない場合と、東武線・押上駅経由のように鉄道事業者間の取り決めによって運賃の分配が行われている場合に分かれている現状がある。

そして、運賃取りはぐれの回避や不正乗車防止を主な目的に、IC乗車券導入後に中間改札のなかった接続駅に続々と中間改札が設置されるようになった。相模鉄道(相鉄)はJR東海道本線・東急東横線との直通運転に備えて、3月17日始発から小田急電鉄(小田急)との共同使用駅である大和駅で中間改札の運用を開始する。また、2019年度には下北沢駅でも新駅舎完成後、小田急線と京王電鉄井の頭線の乗り換えは改札を通過する形態となる予定だ(詳しくは東洋経済オンライン1月13日付記事「乗り換え改札設置『下北沢駅』は不便になるか」を参照のこと)。

改札撤去の動きもあるが…

中間改札設置による利便性低下を防ぐ方策はあるのだろうか。欧米などで導入されているゾーン制運賃が理想形として紹介されることがあるが、わが国の首都圏では複数の鉄道事業者が相互に接続することによって鉄道ネットワークが形成されているため、利害調整は困難を極めるだろう。また、異なる鉄道事業者間を乗り継ぐごとにかかる初乗り運賃加算の解決策として言及される運輸連合についても、独占禁止法の観点からの問題点が指摘されている。

一方、鉄道事業者間の利害を超えて、中間改札の撤廃が実現した事例もある。九段下駅では東京メトロと東京都交通局(都営地下鉄)の間のホームの壁が撤去され、改札内で両者線が相互に乗り換えができるようになった。また、中央新幹線開業に合わせて、近鉄名古屋駅と名鉄名古屋駅の改札共通化の構想もある。

IC乗車券の普及に伴う中間改札の増加は、わが国の鉄道運賃制度の問題点の表れでもある。鉄道事業者が中間改札設置を進めるのは、鉄道事業者が確保できる運賃収入が、改札設置・維持に要する費用を超えると考えられるからである。

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