「中目黒-池袋」IC乗車券が90円以上安いワケ IC運賃ルールで鉄道会社「収入ゼロ」の例も…

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ただし、JR東日本ホームページ内のSuicaの説明ページによると、IC運賃から100円が割引される区間がある。

たとえば、IC乗車券を利用して田端駅―新八柱駅間を西日暮里駅・千代田線・北千住駅経由で乗車した場合、新八柱駅は100円割引の適用区間の駅ではないため割引は適用されず、前記の通りIC運賃のほうが40円高くなる。だが、ほぼ同距離の田端駅―南柏駅間では、南柏駅が100円割引の適用区間内であるため現金運賃560円、IC運賃500円となり、IC運賃のほうが安くなる。

このように、西日暮里駅・千代田線・北千住駅経由でJR東日本線の駅同士の区間を利用する場合、IC運賃のほうが低額であることが多い一方、田端駅―新八柱駅間のように現金運賃のほうが安い場合もあり、距離はほぼ同じでも区間によって運賃に違いが生じている。

運賃収入が入らない鉄道会社も

IC乗車券には、乗車券を購入する手間の省略や、定期券の場合は下車時にチャージ額から乗り越し運賃を自動精算するなどの高い利便性があり、JR東日本管内では改札通過率が90%を超えるまでに普及した。

一方、IC乗車券では複数の鉄道事業者にまたがって利用する場合で直通運転が行われている区間や、他線との接続駅に中間改札が設置されていない駅では前記の例外を除き、複数の経路の中で原則として最低運賃を引き落とすことになっており、鉄道事業者に運賃が分配されない状況も生まれた。

東京メトロ日比谷線は中目黒駅で東急東横線と改札通過なしで乗り換えられるため、ICカードを使うと中目黒―池袋駅間は東横線を経由した場合でも全区間東京メトロ経由の運賃となる(撮影:尾形文繁)

たとえば、中目黒駅―池袋駅間を東京急行電鉄(東急)東横線・副都心線(渋谷)経由で利用した場合、現金運賃では乗車前に渋谷駅接続・東京メトロ線池袋駅までの乗車券330円を購入する必要があるが、IC運賃の場合は237円となる。

東急電鉄広報部は、「最短経路の運賃が最優先されるため、中目黒駅―池袋駅間の場合、(東京メトロ日比谷線と改札なしで乗り換えられる)中目黒駅では、池袋駅までつながっている東京メトロ線と当社線との相互利用が改札内で可能であり、経路判別ができないため、東京メトロ線経由の運賃237円が下車時に引き去られる。よって、当社への運賃の配分はゼロである」と言う。

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