日経平均株価がそう簡単に急回復しない理由 反発はしているが、「上げ基調」とは言えない

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一方、日本株の売買シェアの7割近くを占める海外勢は、相場の先行きに懐疑的な見方を示している。2018年に入って海外勢は約5兆円売り越し、そのうち8割が短期筋の先物売りが占めた。日経平均株価の騰落と東証1部売買代金の推移をみても、「上昇日に伸び悩み、下落日に増大」している。「出来高は株価に先行する」といわれるが、2月は下落日の売買代金が1日当たり3.55兆円まで急増。市場の出来高からみた日本株は、決して上げ基調とは言えない。

「価格帯別売買代金」で見ると、「戻り一服」も

また、日経平均の価格帯別売買代金で見ても、ここからの上値はやや重くなることを示唆している。価格帯別売買代金とは、その価格帯で購入した投資家の分布(バラツキ)を示す。売買代金の多い価格帯(ボリュームゾーン)が「下値支持線」や「上値抵抗線」の目安となる。

一方、売買の少ない価格帯(いわゆる「真空地帯」)での値動きは、需給のシコリが少ないため、早くなる傾向もみられる。こうした分布を分析する際は、算出期間によって大きく異なるため、売買の期間に合わせて調整する必要がある。

実は、2017年9月以降の日経平均価格帯別売買代金とみると、2万2500~2万3000円がボリュームゾーンだ。2月27日の日経平均株価も取引時間中に一時2万2500円台を回復したものの、大引けにかけて上げ幅を縮小した。東証1部売買代金も少ないとは言えないものの、2.6兆円と伸び悩んだ。

一方、足元の日経平均株価は直近の急落局面(2万4124円→2万1154円)の「3分の1戻し」(下落分の3分の1戻し)を達成した。次は「2分の1戻し」となる2万2639円が意識されるが、同水準は価格帯別売買代金からみた前出の「ボリュームゾーン」とも重なる。このまま薄商いが続くようであれば、戻り一服となりそうだ。

さて今後はどうなるだろうか。3月9日には米国の2月雇用統計、少し先まで見渡すと、3月20日~21日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えている。米国ではインフレ率上昇や、財政出動に伴う米国債増発が懸念されるほか、中国による米国債売却への警戒感も根強い。仮に米長期金利が3%台まで上昇すれば、緩和マネーの逆流にともなう世界的な株安連鎖の再来もないとはいえない。

一方、東京株式市場は例年3月期末に向けて、市場のボリュームは膨らむ傾向がみられる。その要因としては、①個人の配当権利取り、②企業の自己株買い、③金融機関等からの持ち合い解消売り等が挙げられる。今は「上昇日に薄商い、下落日に大商い」だが、今後は「上昇日に大商い、下落日に薄商い」という、上げ基調を示唆するサインを見極めることがポイントだ。

以上のことから、足元の日経平均株価と市場ボリュームの関係では強い相場とは言い難い。今後一段と商いが縮小した場合、日経平均株価は2月14日に続く「2番底」をつける展開になることも、想定しておきたい。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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