米金利上昇で浮上する「金投資」の魅力 米国のインフレ率上昇に負けないものとは?

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米金利上昇なら、金の出番かもしれない(写真:bee/PIXTA)

米国の金利上昇懸念が強まっている。次の米国雇用統計発表は3月9日の予定だが、2月2日発表の1月米雇用統計では「賃金の伸びが想定以上」だったことを背景に長期金利が騰上昇、株式市場に激震が走った。

市場は米金利上昇に対して敏感になりすぎている

これまで市場では、「低金利状態が今後もある程度続く」との前提で動いていた。投資家も「金利はさほど上がらない」との読みから、株式や債券の購入を進めていた。だが、予想外の「賃金上昇」という事実に直面、市場はこれまでのシナリオ継続に疑問を持つようになっている。

「平和状態」にあった市場のボラティリティ(変動率)は一時急上昇、これが株価下落に拍車をかけた。では、今後も金利が上昇基調を続ける一方、低ボラティリティ状態は終了、ある程度の変動を持って市場は動くことになるのだろうか。この状況に、市場関係者は頭を悩ませている。

ポイントは、市場が金利変動に過度に敏感になりすぎている点だ。今後金利が本格的に上昇に転じるのであれば、株価は下げるのだろうか。また、その他の資産はどのような動きになるのだろうか。いずれにしても、大きな転換点に来ているように思われる。

結論的に言えば、米長期金利は上昇に向かいそうだ。長期的に見ると、米国の長期金利は1940年代から上昇に転じ、1981年でピークアウトした。その前の1979年には第2次オイルショックが起き、原油価格が上昇する一方、金価格も1トロイオンス=850ドルという、当時としては歴史的高値を付けた。

年配の読者ならご存じの方も多いと思うが、数字だけでも当時のすさまじさがわかる。1980年にはインフレが強まり、米国の消費者物価指数(CPI)は前年比14.8%もの上昇となった。当時の米国経済はきわめて厳しい状況で、実質GDPは前期比の年率で7.8%減となった。また失業率も7.8%にまで上昇、1982年11月には同10.8%にまで上昇した。

一方、米長期金利は1980年に13.6%にまで上昇、1981年には15.8%にまで上昇した。今となっては信じられないような話だが、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利は19%にまで引き上げられ、ようやく1981年に金利はピークアウトし、その後長期的な低下傾向が続くこととなったわけだ。

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