「宇宙人はいない」とは否定しきれない理由 米国人ファンはUFO探査組織を設立

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「人間の経験に革命を起こす発見は手の届く場所にあると、われわれは信じている。しかしそれを実現するには、画期的な研究と発見、そしてイノベーションに対する無限のサポートが必要だ」と、ホームページには書かれている。

筆者自身は、テレパシーやワープ・ドライブの発明がさほど近いとは思えない。しかし同アカデミーに参加する元ロッキード・マーティン先進開発部門(通称「スカンクワークス」)の技術者、スティーブ・ジャスティスの言葉には同意する。ハフィントンポストによると、彼は最近こう語った。「宇宙には、われわれが知る物理学しか存在しないとは、とても思えない」。

まったく同感だ。筆者はこれまで多くの物理学者と天文学者と共に、アインシュタインと現代科学を覆す未知の領域を発見することに心血を注いできた。しかし今のところ、その努力に何ら成果は見られない。

アインシュタインを超えるものがない

6年前、イタリアに拠点を置く国際共同実験チームOPERAが、「素粒子ニュートリノの速さが光を超えた」と発表して大いに話題になったが、のちに実験装置の不備によるものだったことが判明した。「光より速いものはない」というアインシュタインの理論は、まだ打ち破られていないのだ。

確かに光速のほかにも解明するべき課題はたくさんあり、今後多くのサプライズがあるだろう。しかし「アインシュタインの理論を超えた」と騒がれてきたアイデアの多くは、全滅寸前だ。科学に劇的な変化を起こすのは、思ったより難しいのだ。

人間にとって未知のことはたくさんあるが、わかっていることもたくさんある。コンピュータを操る方法しかり、ポケットに収まるほどの小型機器で世界をナビゲートする方法しかり。物理的物体が大気のような媒質をジグザグに動くとき(UFOもそのように動くと考えられている)、乱流と波動を生み出すことも知っている。NASA(米航空宇宙局)は昨秋、土星探査機カッシーニが土星の大気圏に突入して燃え尽きるタイミングを、分刻みで予測していた。

天文学の世界では、科学的な事実と想像(SF)の違いは紙一重の場合がある。もしかするとそれは、多くの科学者がSF小説やマンガを読んで育ったからかもしれない。天文学者たちはいつも、既知の世界と未知の世界の境目にある窓に鼻を押し付けて、窓の外に目をこらしてきた。彼らは誰よりもSFの世界を信じたがっている。筆者もその1人だ。

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