「父親の育休取得」、アメリカの意外な実態

育休後進国は変わりつつあるのか?

米国では、育児休暇の雛形はビル・クリントン大統領の署名で1993年に法律になった。育児介護休業法はアメリカでの最初で唯一の連邦休暇法制である。別名「FMLA」とも呼ばれる同法は労働者の約60%に新生児、新しく養子に迎えた子ども、病気の親戚の世話、もしくは自分の深刻な健康問題からの回復のために12週間の無給休暇を保証する。

一方、州レベルでは、是正されたものが施行されていたり、男性やパートタイムで働く人に有給休暇を認める企業も出てきてはいる。この問題は政治的論点にもなり、最近では1月30日のドナルド・トランプ大統領の一般教書演説で話題に上った。

前述のジョージはこう話す。「これがアメリカの方針だから仕方ない。欧州だったらもっと育休が取れるのかもしれないが……」。

スイスに住む男性の意見は?

では、本当に欧州では男性でも、簡単に育休を取れるのだろうか。アメリカ生まれチューリッヒ在住のインターネット企業の幹部で起業家のヤニック・ラクローによると、現実はそんなに甘くない。「スイスでは、公式な父親の育児休暇はない」(ラクロー)からだ。

企業は出産を含めた重大な家族の一大事に、従業員に最大1日の休暇を与えることが義務付けられているが、それ以上は各企業の決定に委ねられている。しかし、昨年には男性の育休の導入を求める国民発議が出され、国民投票を行う運びとなっている。

これに対してスイス政府は、ほかの多くの欧州諸国の制度と同様、男性向け育休の導入には1年に4億2000万スイスフラン(4億2800万ドル)かかるとして反対している。国民投票の期日は、政府によって決定される必要があるが、ラクローによればその日は目前に迫っており、「政府は、国民の意思を知ることになるだろう」と話す。

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