ランボルギーニがついにSUVへ参入した理由 世界最速「ウルス」は打倒フェラーリの布石だ

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 最新
拡大
縮小
1986年に完成した「LM002」(写真:ランボルギーニ提供)

それは軍事使用を前提とした大型オフロードモデルのプロジェクトであった。その取り組みはなかなか芽が出なかったが細々と開発は続けられ、1986年に「LM002」として完成を迎えた。注文生産として1992年まで約300台が顧客の元に渡ったのだ。

LM002は悪路走行を前提とするモデルでありながら、なんとカウンタックから流用したハイパワーのV12気筒エンジンが搭載されていた。主たる顧客は中東の富裕層ということで、インテリアもレザーシートやウッドトリムなどを多用した豪華仕様であった。このコンセプトこそ、まさにSUVそのものだ。今から考えればSUVへの参入は少し早すぎたのかもしれない。

一方、ランボルギーニのマーケティングスタッフは、この事実をウルスのプロモーションで最大限に活用できる。「40年の歳月を経て再び開花したランボルギーニSUVのDNA」というふうに謳えるのだ。ウルスの力強いフェンダーアーチやエアダクトといったエクステリアや直線基調のインテリアには、往年の名車カウンタックだけでなくLM002のモチーフも活かされている。

砂漠におけるパフォーマンスも徹底的に追求した

そういったブランド・ストーリーだけでなくランボルギーニのエンジニアたちは不整地、特に砂漠におけるパフォーマンスも徹底的に追求したようだ。

チーフ・エンジニアであるマウリツィオ・レッジャーニ(写真:ランボルギーニ提供)

たしかにチーフ・エンジニアであるマウリツィオ・レッジャーニはここ数年、砂漠によくいた。

彼に連絡すると、「すまない、今、砂漠にいるんだ。ドバイのね」という答えが何回となく返ってきたのを思い出す。「エンジンの形式については大いに悩んだ。しかし砂漠のような路面環境を考えるなら、超低回転域から十分なトルクを生み出すターボ以外には考えられなかった。ターボラグを最小限にするためにツインスクロール・タイプを採用し、その搭載位置も最適化している。自然なフィーリングを重視して機械式のセンターデフも採用しているしね」と、レッジャーニが語る。

次ページ基本プラットフォームはVWグループ内の資産を共用するが…
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT