ランボルギーニはそんな中でSUVのカードを切った。ブランドイメージを毀損しないように、ウルスは最高速度がSUVで世界最速なだけでなく、0-100km/hと0-200km/hといった加速性能もSUVで世界最速である点を謳っている。
スタイリングはランボルギーニの看板でもあるカウンタックのモチーフを活かした点をアピール。技術的にもアクティブ・トルクベクタリングや4ホイールステアリングといった革新的システムを導入している。
アウディ傘下の利点
1999年からアウディ傘下のブランドとなっているのも、ランボルギーニがSUVに参入するうえでの優位点だ。アウディの属するVWグループには、ポルシェ、ベントレーといったブランド企業がある。クルマの世界に詳しくない方なら、ランボルギーニとポルシェが同一グループに属するということは知らないであろう。
彼らは、それぞれのブランドの独立性を保ちつつ、マーケットで競合しないように万全の注意を払っている。各ブランドのシナジー効果から生まれる効率化の追求は徹底して行われており、ウルスの開発においてそれは大きなバックアップとなったはずだ。
ランボルギーニのような小規模な会社にとって、今まで縁のなかったSUVを一から開発するのはあまりに効率が悪い。しかし、グループ内には大型SUVとしてアウディ「Q7」、ポルシェ「カイエン」、ベントレー「ベンテイガ」、そしてVW「トゥアレグ」という同じプラットフォームをベースに作られた兄弟車が存在している。ランボルギーニはそれらのリソースを最大限に活用できたのであろう。
マーケティング的にこれら「兄弟車」と被らないように差別化を行いさえすればよい。VW、アウディがベーシックな位置とすると、ベントレーはラグジュアリー、ポルシェはスポーティだ。とすればランボルギーニはラグジュアリー+スポーティで攻めればよいワケだ。
ランボルギーニとSUVの間には、あまり知られてはいないが、実は一つのミッシング・リンクが存在する。話は1970年代の後半にさかのぼる。
当時はスーパーカー・メーカーにとって厳しい冬の時代であった。オイル・ショックや景気後退などがその主たる原因であったのだが、ランボルギーニは、その危機に対応するため新しいジャンルへの取り組みを行った。
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