さて、実態はそうであるとしても、個々の意識はどうでしょうか? 2014年に内閣府が実施した「女性の活躍推進に関する世論調査」の質問項目の中に、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方への賛否を聞いているものがあります。対象は全国20~70代未既婚男女3037人です。「賛成」もしくは「どちらかといえば賛成」と回答した人を「専業主婦派」とした場合、その割合は男女でどれくらい差異があるかについて見てみたいと思います。
まず、全年代合わせた結果では、「専業主婦派」が男性46.5%、女性43.2%となり、男女とも4割以上が「専業主婦派」です。男性のほうが若干高いものの、それほど差異はありません。2015年の国勢調査によると専業主婦世帯(夫が就業者で妻が非就業者の世帯)の割合は約36%ですから、共働きでも本音では専業主婦形態を希望する人が男女ともにある程度いるということです。
年代別にみると、やはり男女とも60代以上が高く、高齢男性は半数以上が「専業主婦派」です。70代以上では女性ですら過半数が賛成しています。しかし、20~50代で見ると、男女ともそれほど差分も変動もなく、ほぼ40%前後になっています。婚姻状態別で見ると、男女とも既婚のほうが「専業主婦派」の割合が高く、いずれも全体平均を上回っています。未婚では女性に比べ男性の「専業主婦派」割合が高いですが、全体的には低い値です。
「結婚への意欲」と「結婚生活の理想」
では、今の未婚男女の結婚生活の理想とは、はたして「専業主婦」or「共働き」、どちらの形態でしょうか? ここで気をつけたいのは、内閣府の調査の未婚は状態としての未婚であり、必ずしも「結婚に前向き」な人たちの意識であるとは言えない点です。「独身の9割が結婚したい」説の根本的な誤解という記事でご説明したとおり、未婚男性のうち結婚に前向きなのは4割にすぎないのです。
そこで、私が主宰するソロもんラボでの2016年調査データを使用します。対象は20~50代未婚既婚男女2万人です。その中で、「結婚前向き度(未婚者20~30代のみ抽出)」と「結婚生活形態に対する希望(既婚者は20~50代対象で、現在の状況に関係なく望ましい形態)」を聞いています。
今回、そのふたつの設問をクロス集計して、結婚に対する意思の前向き度と結婚生活後「専業主婦派」なのか、「共働き派」なのかを明らかにしてみました。対象エリアは1都3県(千葉・埼玉・神奈川)となるため、対象が全国の内閣府の傾向とは多少違います。
※結婚前向き度は、「結婚する予定がある」「絶対に結婚する」「結婚したい」を前向きとし、「今は結婚するつもりはない」「結婚したいと思わない」「結婚しないつもりだ」を後ろ向きとしました。「現状結婚したいかどうかわからない」は除きます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら