平昌五輪の高視聴率で露呈したテレビの苦境 民放各局のテレビマンは決して喜んでいない
視聴者は「何が起きるかわからないハラハラドキドキ」や「目の前で見ているような臨場感」を味わえる生放送に引かれてリアルタイム視聴をしますし、それが高視聴率に直結。さらに近年、「見たいときに、見たいものを見る」というオンデマンド思考が普通のことになった分、相対的に生放送の価値が上がり、「最もSNSで共有したくなるコンテンツ」となりました。
平昌五輪中継の高視聴率は、選手の奮闘はもちろんのこと、「視聴者が生放送の魅力や価値を改めて実感している」という側面も大きいのです。
収録番組が好調の日本テレビに続け
伝説の生放送番組「ザ・ベストテン」(TBS系)や「ニュースステーション」(テレビ朝日系)の司会を務めた久米宏さんも、昨年11月17日放送の「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系)で、「テレビは生放送がもっと増えれば面白くなる。それがテレビの本質なんです」とコメントし、共演した“日本初のテレビ女優”である黒柳徹子さんも同調していました。
しかし、現在プライムタイム(19~23時)で放送されている民放各局の番組は、9割以上が収録放送で、生放送は「報道ステーション」「サタデーステーション」「サンデーステーション」(テレビ朝日系)と「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)くらい。テレビ業界がリアルタイム視聴をベースにした視聴率という指標を使い続ける以上、ハラハラドキドキや臨場感で生放送に勝てないのは明らかなのに、収録放送ばかりなのです。
なかでも現在のバラエティは、「できる限り情報と笑いを詰め込む」のが基本スタイル。収録は放送時間の2倍以上かかるのが当たり前で、それをギュッと凝縮させて、毎分レベルで見どころと笑いどころを盛り込んでいるのです。
その流れを加速しているのが、日本テレビの視聴率トップ独走。日本テレビのバラエティは「最も制作時間が長く、台本を作り込み、徹底して編集する」ことで知られていますが、それらが軒並み高視聴率を記録していることが、その流れを加速しているのです。
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