平昌五輪の高視聴率で露呈したテレビの苦境 民放各局のテレビマンは決して喜んでいない

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テレビ業界は、世間の人々だけでなく、身内に対しても低視聴率の汚名をセルフフォローできていないのです。

今後はビッグイベントのテレビ放送が危機に

話を生放送に戻すと、最大のコンテンツであるスポーツ中継は、今年からDAZN(ダ・ゾーン)がサッカー、野球、テニス、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、格闘技、カーレースなどの主要スポーツをカバー。地上波からCS放送を飛び越えて、動画配信サービスへの移行が進んでいるだけに、テレビ業界にとっては驚異の存在となっています。

五輪やサッカーワールドカップなどのビッグイベントも放映権料は高騰する一方で、「収支は赤字」というのが現実。さらに、裏番組は低視聴率で苦しみ、現地への人材派遣の負担も大きいなど、ネガティブな要素が大きくなっています。「もしテレビ業界の広告収入が下がったら、ビッグイベントの生放送は成立しなくなる」、そんな近未来の姿が浮かぶからこそ、テレビマンたちは平昌五輪の高視聴率を素直に喜べないのです。

最後に余談ですが、私自身、連日仕事中も平昌五輪中継を見ているヘビーウォッチャー。選手たちの奮闘には理屈抜きで感動しますし、毎日楽しい時間を与えてもらっています。しかし、テレビを愛する一人としては、「ドラマやバラエティも負けない魅力を持っているのに……」という歯がゆさを拭い去れません。選手たちを称える気持ちと同じくらい、現場で奮闘するスタッフやキャストが報われることを心から願っています。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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