東京の格差、「災害復旧が遅い地域」はどこか もう想定外とは言わせない…東大教授の挑戦
⽶国ではクリントン政権(1993〜2001)の末期ごろから、重要インフラを⽼朽化から守るという話が出ていた。そこに2001年9⽉11⽇の⽶国同時多発テロが発⽣し、⽼朽化、災害だけでなくテロといった事態も含めて、インフラの相互依存性解析という話が出始めていた。しかし⽇本では、この分野はほとんど⼿つかず状態だった。シミュレーションもできず、定性的な話に終始していたという。
⽇本なりの事情
ここには⽇本なりの事情もある。インフラが欧⽶に⽐べて⽐較的強固であるという事実だ。たとえば電⼒。⽇本の電⼒はまず停電しない。停電したとしても復旧が早い。もちろんそこにはハード⾯を強化することを得意としてきた⽇本の体質もあるだろう。⽇本は「事故など起きないように頑張ってしまう。そうすると、『起きたときのことは考えなくてもいい』という話になってしまう。原⼦⼒安全はその典型だった」と古田教授は⾔う。
しかし、⼼配されたのは、インフラが次々と被害を受けて広がっていくという現象だった。そこで研究課題として挙げられたのが、エネルギー需給、交通物流、上下⽔道、情報通信ネットワークのそれぞれのシステムを重ね合わせた全体モデルの構築と複合的な相互依存性解析である。その結果に基づいてようやく、リアクティブ(状況に応じた)な復旧計画を⽴てることが可能になる。さらに危機管理政策を議論する際のレジリエンス分析や政策的・制度的な選択肢の研究も加えられた。
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