成長できない人は失敗と成功を振り返らない 「管理職1年目の教科書」に学ぶ仕事術

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まず1つ目は、管理職の役割は「チームの成果の最大化」であるということ。仕事の計画、会議の開催やチーム内のコミュニケーション、部下の育成など、すべての活動がそこに向けられていることが必要。その点を肝に命じておくことが、管理職としてのしっかりした判断基準を持つことにつながるという考え方だ。

2つ目は、チームの成果の最大化を「生産性の高いやり方」で実行すること。これまでの日本企業のように長時間労働を拠り所にするのではなく、「限られたヒト、モノ、カネ」で単位時間あたりのアウトプットを高めるようなマネジメントが望ましいということである。

とはいえ、業務の効率化による時間短縮だけでは限界がある。そこで求められるのは、仕事の進め方や取り組み方を磨き上げ、仕事の質を高めていくマネジメント。つまり管理職は、そこで真価が問われる。

3つ目は、自分自身と部下の「価値ある人材への成長」だ。言われたことだけをやっているようでは論外。生産性の高い仕事を実現するのは、あくまで主体的な判断で自ら行動する人、目的を見据えてムダなく仕事を進められる人、経験のない局面においても臨機応変に対応できる人。

だからこそ、自分自身と部下がそうした人材へと成長していくことこそが、生産性を高め、チームの成果を最大化していくということだ。

管理職に必要な仕事力を磨く

そして、これら3点を踏まえたうえで、それを実現していくために管理職として必要なのは、次の6つの分野における仕事力を磨いていくことだという。

1. 迅速な意思決定
2. ムダなく仕事を進める段取り
3. スピード感を生む時間活用
4. 成果につながる権限移譲
5. 高生産性人材の育成
6. 最強チームの構築
(「はじめに」より)

これらは特定の企業や組織のなかだけで役立つものではなく、国や企業を問わず、どこででも通用する普遍的な仕事力だと主張する。本書において、これらの分野の力を磨いていくための具体的なノウハウを「36のルール」として紹介しているのは、そんな理由があるからだ。

残念ながらそのすべてをここでご紹介することはできないので、「部下育成」に焦点を当てた第5章「高生産性人材を育成するルール」から、2つのポイントをピックアップしてみることにしよう。

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