冒頭で紹介した田島さんのように、「将来、どんなポジションにいたいか」を見据え、それに近づくために今どうすればいいかを軸に考える。それが、転職の成功だけでなく、中長期視点でのキャリア構築を成功させる秘訣といえるだろう。
これとは別に、銀行出身者が転職を成功させるために、重要な要素がある。それは「周囲から反対を受けても、意思を持って行動に移すことができる」ということだ。
”嫁ブロック”という言葉があるように、妻が夫の転職に難色を示すケースは多い。やりがいを感じられる企業に出会い、内定にこぎつけても、妻や親からの反対で、転職を断念する人も実際にいる。知名度も待遇の高い銀行からの転職にもなると、周囲の反対も強くなりがちである。
家族と共有し、合意形成しておくこと
では、スムーズに転職できている人は、どのように家族の理解を得ているのか。うまく運ぶポイントは、転職活動をスタートする段階から、配偶者と「共有」しておくことだ。内定を得てから相談したのでは、「相談もなく勝手に進めるなんて」と、反発を受けてしまう。どんな会社かもよくわからないのだからそれも当然だろう。
応募から面接などのプロセスの中で、その都度「どう思うか」と意見を聞き、「自分はこうしたい」と思いを伝える。そのように、一緒に進めるというスタンスで合意形成をしていった人は、家族の理解と協力を得て転職成功を果たしている。
ここ1年ほどで、転職を考える銀行出身者が増加し、彼らを受け入れる業種・職種の幅も広がっている。つまり、「銀行出身者のキャリアパス」のモデルが、多様化しながら増えていくことになる。その中から新たに、理想のロールモデルが生まれてくるかもしれない。転職を1つの選択肢として考える人は、固定観念に縛られることなく、可能性を探ってみてほしい。
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