不動産転売ビジネスがストップ、崖っぷちに立つ新興デベロッパーたち
昨年後半以降の信用収縮の影響で新興デベロッパーに対する不安が高まっている。証券市場でも軒並みPBR(株価純資産倍率)の1倍割れ、つまり解散価値を下回ることが常態化。とりわけ、8月18日にアーバンコーポレイションが民事再生法適用申請に追い込まれてからは、不動産流動化事業を手掛ける新興デベロッパーに対する市場の視線は一段と厳しくなってきた。
ここで言う不動産流動化事業とは、2000年11月施行の改正資産流動化法によって設立が容易になったSPC(特定目的会社)か企業本体でビル等を開発・再生して売却するものだ。物件を購入するのは外資系や私募の不動産ファンドが中心で、ここ数年、急激な勢いで伸びた。その結果、下表にあるように、流動化を主力事業とした企業が続出。特に04年以降の株式公開企業に集中しているのが特徴だ。
売るに売れず返すに返せない
ところが、今回のようにサブプライム問題による外資系ファンドの資金引き揚げと国内金融機関の選別強化で物件の買い手が不在になると、600億円以上の営業利益を出していたアーバンも“突然死”してしまう。それだけに、不動産流動化事業を主力とする企業の先行きは予断を許さない状況にある。
不動産流動化事業がストップした場合、まず差し迫るのは資金繰りだ。ある業界関係者は「環境のいいときは、1年以内の短期資金を借りても約定期日前に物件を売却できたので返済は容易だった。が、今は簡単に売れないので金利を払ってロールオーバーしている」と言う。もちろん、慌てて資産圧縮しようとすれば、買いたたかれて破綻を早める可能性がある。実際、アーバンの場合、棚卸し資産はピーク時で住友不動産並みの規模になったが、今期の第1四半期に1000億円の売却を急ぎ、結局、営業利益段階で314億円の赤字(評価損274億円プラス実現損40億円)になり、破綻が早まった。
売るに売れず、返すに返せない状態が今の流動化ビジネスを主力とする新興デベロッパーの置かれた環境だ。ある経営者は自嘲ぎみに「金融機関から『資金を返せ』と言われるが、返せないものは返さなければいい」とうそぶく。そうした声も聞かれる中、新興デベロッパーは生き残り策を模索し始めている。