不動産転売ビジネスがストップ、崖っぷちに立つ新興デベロッパーたち

拡大
縮小


 ランキング下位のノエルは神奈川県中心に戸建てとマンション分譲を主力として出発。同社の株式公開は05年9月。公開1年前の棚卸し資産は85億円。それが前07年8月期は572億円へ拡大。その多くが戸建ての分譲用地と流動化ビジネス向けの物件。ところが、市況が悪化し始めた昨年後半から収益見込みが狂いだし、08年8月期の営業利益予想を当初の61億円から2回修正して22億円の赤字にした。7月には建設会社に対する支払いがショートし、一部資産譲渡で切り抜けているが、資金繰りは薄氷を踏む展開が続いている。

7月末には時価総額が東証2部の基準である10億円を割り込んだ。このため、9カ月以内(09年4月まで)に月中平均と月末で10億円を回復しない場合、上場廃止となる。希望退職募集や組織改革などを進めているが、資産圧縮が進まないこともあり、直近でも時価総額は5億円前後で推移している。このままでは上場廃止の可能性が濃厚だ。

いずれにしても、不動産をめぐる信用収縮に改善が見られない状況下、流動化ビジネスで伸びてきた企業を取り巻く環境は厳しい。ある業界関係者は「あと1~2社倒れたら、金融庁の姿勢も変わる。それまでは息を殺してジッと我慢するだけだ」と言う。その言葉どおりなら、流動化事業比率ランキングの上位にある企業の苦境は当分続き、民事再生法の適用申請を含めた選択も迫られる企業も出て来そうだ。


(週刊東洋経済編集部)

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