KDDIは、なぜ社長交代を1年前倒しするのか 技術からサービスへのトレンド変化を象徴
今年1月に米ラスベガスで行われたInternational CESは、もはやコンシューマ・エレクトロニクスだけの展示会ではなく、新たなテクノロジーによって変化する社会について各社が近未来へ向けたビジョンを発表する場となっていた。
たとえばトヨタ自動車は「e-Palette Concept」と名付けた自動運転技術を基礎とする流通システムを提案。移動体に対応する保険などの周辺整備も含め、5G時代に社会全体がネットワーク化されていくなかで、自分たちがどのような方向性を出していけるのか明確なビジョンを示していた。2020年には実証実験が開始される。
いずれは「5G」へと収斂していく
携帯電話網に目線を戻すと、5Gは2020年からのサービスインをNTTドコモとKDDIが明言しているほか、ソフトバンクも同年のサービス開始を狙っている。しばらくは現行LTEとの共存が続くとはいえ、いずれは5Gへと収斂していくのは明らかだ。では5Gで社会はどう変化していくのか、中長期的な戦略で取り組むならば、そのスタートは早いほうがいい。
5Gのサービス開始から3~5年後に、その社会的な影響が広がると仮定すると、高橋新社長にとって2019~2022年の中期計画は成長戦略を描くうえで極めて重要なものになる。田中社長が言うように、1年間かけて次の中期計画をまとめる時間的猶予は将来、大きな意味を持つようになるかもしれない。
KDDIは通信を核にして、社会のさまざまな要素がネットワーク化し、そこに新規事業を立ち上げていき、結果として生活全体をサポートする企業になるという“ライフデザイン企業”というコンセプトを掲げているが、そうした視点は通信インフラとは無関係な異なる業種の企業にとっても重要だ。
5Gでは通信帯域が広がるだけでなく、遅延が大幅に小さくなることで応用範囲が大きく広がる。とりわけ移動体への応用は、すでに多くの提案がなされているが、イノベーションの波はそれだけにとどまらないだろう。移動体を含めた社会全体がネットワーク化されるなか、身の回りのあらゆるモノとサービスに革新が起きていく。
KDDIの社長交代劇は、そうした近未来のイノベーションに向けた予兆の一端だ。そう考えたうえで、自らの足元に目線を落とせば、新たなビジョン、目標が見えてくる。
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