6年間妻を介護した岩本恭生氏の「壮絶生活」 小室哲哉氏に共感するのには理由がある
小室も59歳で今回の不倫報道。節目の年を前にすると、考えることはおのずと増えてしまう。岩本は悩みをひとりで抱え込んだ。他人に打ち明けるのがイヤだったという。
「表舞台に立つ人間という自負がありましたから、笑わせる側の人がつらい話をするのは違うな、と思っていたんですね。小室さんもそうだったんじゃないでしょうか。ましてや、KEIKOさんも芸能人の方。
本音を包み隠さず言える相手なんて、周りに少なかったんじゃないかと思いますよ。ブログなどで“頑張ってますよ”と発信することは多少の気休めになっているのかもしれませんが、同時に“元気でなければいけない”というプレッシャーにもなってしまいます」
岩本の場合は、子どもが2人いたことが苦しい中での支えになっていた。
「市川海老蔵さんは、闘病中の小林麻央さんのことをブログに書いていましたね。お子さんがいるから、前を見て頑張らなくてはいけないと思えたのでしょう。
僕も2人の子どもに支えられました。介護を始めたときは、小1と小3。子育て、介護、そして仕事……となると“子どもたちのために!”って自分を奮い立たせるしかなかったんです」
小室には子どもがいない。それが心のすき間を生んだのではないかと岩本は考える。
忙しいことが、むしろありがたかった
「子どもたちという存在がなくて時間に余裕があれば、僕もどうなっていたかわかりません。妻とは仲がよくて、食事もお酒もゴルフも一緒でした。
でも、妻を対等な関係性で見ることができなくなって“夫婦”とは呼べない状態だったんです。私も男性ですから、精神的に女性を欲していました。ただ、朝起きると子どもの弁当を作って送り出したり、地方で仕事をしているときは電話で起こしたり……という生活でしたから」
忙しいことが、むしろありがたかった。それでも頼る人がいない状況が続くと、気持ちが沈んでいく。
「妻とは“夫婦”としての生活が成立していないと思うんです。夫婦というのはどちらかが弱っていたら、もう一方が癒やしてあげるもの。この思いやりが一方通行になってしまうと、戸籍上は夫婦でもちゃんと“夫婦”であるとはいえないと考えていました」
介護の疲れから離婚に至るケースは皆無ではない。男女問題専門家で行政書士の露木幸彦氏は、小室と同様に高次脳機能障害の配偶者を介護する人から相談を受けることがあったと話す。
「怒りっぽくなってしまいトラブルが起きることがあります。入浴を嫌がるので注意すると“風呂に入らなくても死にはしない!”と逆上されたり、おねしょをするので“おむつして”とお願いして“バカにしないでよ!”と怒られたりした例がありました」
ストレスを感じながらも、介護中に離婚する事例は少ないという。
「“日常生活に支障がある場合”には、婚姻関係を継続できないと判断されることもあります。ただ、介護放棄にも見えかねませんし、離婚を決断することは難しいでしょう」(露木氏)