アルツハイマー病は治療によって回復可能だ 500人以上が回復した革命的治療法とは?

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実は、アルツハイマー病と診断される15~20年前から、すでに病気は始まっている。年齢でいえば、ちょうど40歳を迎えた頃からが危なく、病気がひっそりと進行し始めている人が多い。

50代になったら腸の内視鏡検査を行うように、40代のうちに認知機能検査を受けるのが理想的だという。

恐ろしいことに、認知症は発症するまで、ほとんど何の症状もない。あったとしても、「些細な物忘れ」「夕方に疲れが出る」「人の顔を覚えにくい」など、“歳のせい”で片付けてしまうようなものばかりだ。

言葉がうまく思いつかない、会話に入れない、少し前の出来事もすぐに忘れてしまう、いつも通い慣れた高速道路でどの出口を出れば家に帰るかわからなくなってしまう……。放置したままだと、このようにいずれ認知機能の障害につながっていく。

そして、認知症と診断される頃には、病気自体はすでに末期を迎え、日常生活に介護が必要な状態になっている。

生活史を振り返ってみよう

認知機能が低下している原因を確かめる上では、これまでの生活史を振り返ってみることも大切だ。

『アルツハイマー病 真実と終焉』(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

頭のケガや過去に受けた全身麻酔、喫煙、飲酒、別の病気で処方されている治療薬、口腔内の不衛生、いびき、慢性副鼻腔炎、自宅・職場・車のカビ、ダニに噛まれたこと、化粧品やヘアスプレー、制汗剤の使用、便秘、あまり汗をかかない、といったことも手がかりになるという。

自分で認知機能の低下を自覚している段階であれば、リコード法で今のところ全ての人が回復しているという。しかし、症状がある程度進んでしまうと、100%の回復は望めなくなっていく。

このため、ブレデセン医師は「認知機能検査で目標値から外れている項目があれば、すぐにリコード法を始めてほしい」と力説している。

これは症状がない人も同じで、この時点からスタートすれば、一生アルツハイマー病を寄せ付けずに過ごすことも可能だ。つまり、予防できるわけである。後編では、この予防法について解説する。

山口 茜 医学ジャーナリスト、プサラ研究所所長

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やまぐち あかね / Akane Yamaguchi

医師専門の医学新聞社に勤務し、これまで約20年間にわたり世界20カ国以上で取材活動を展開、取材した医師は2000人を超える。2013年に新聞社を退社後、 2014年株式会社プサラ・インスティテュートを設立。「医学をわかりやすく」をモットーとしたプサラ研究所所長として、高度な医療情報を医師や専門家だけでなく一般にもわかりやすく伝えている。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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