上野動物園も!プロ溺愛「すごい長靴」の世界 大雪や豪雨で「靴がびしょ濡れ」という大問題

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こうした技術力や開発力により、さまざまな現場で作業をする人たちの心をつかんできた同社。ユーザーの多くは職場で毎日履くため靴底の減りが早く3カ月ほどで買い替えるそうで、同社の長靴をはじめとするシューズウエア部門の売り上げは、こうした頻繁な買い替え需要や春先に現場に入るフレッシュマン需要に支えられているという。

女性、ビジネス向けでブレークできるか?

しかし、こうした一定の需要はあるものの、同社がメインターゲットとする一次産業層の人口は減りつつある。そこで、同社は今後、一般消費者向けの長靴開発にも力を入れていくそうだ。特に現在、業界全体でファッション性のあるものが特に伸びていることもあり、「女性向け商品」の拡充を考えているという。

確かに市場に女性向けの長靴は増えたが、開拓の余地があると感じる。おしゃれな長靴はどこか機能に不満があり、実用的なものはダサいという印象だ。

たとえば、筆者のハンターへの不満と要望は、こうだ。「豪雨の際に筒の間から雨が浸入するので、それを防ぐカバーみたいなものが付いているといいが、歩いたり自転車をこぐうえで邪魔になるのは困るし、見た目を損ねる形では付けてほしくない。欲を言うとビジネスの場でも違和感のないレベルまでスタイリッシュにできないか」。もはや原形をとどめない要望だが、女性同士(特に子どもがいる働く女性)で長靴の話になるとこういった身勝手な意見が飛び交い結構盛り上がる。

この連載を担当する女性編集者も長靴を5足も持っているのにどれも一長一短らしく、常々理想の長靴について熱く語っているので、細かな不満を抱える女性は多いように思う。世の女性たちの意見を反映した商品が生まれたら、売れるに違いない。

そして、こうした長靴への不満を抱いているのは女性だけではないらしい。「実は、10年間未解決なのが、ビジネスマン向けのレインシューズなんです」と、近内さんは打ち明ける。「男性がスーツを着ていてもカッコよく履ける長靴機能のある靴」はビジネスマンから長年熱いオファーがあるものの、軽量化すると安定が悪くなり、カッコよさを追求すると底が重くなるなどバランスが難しいそうで、ずっと商品化できていないのだそう。

「絶対にムレない長靴というのも永遠の課題。これができたら独壇場でしょう」と、近内さんは話す。

まだまだ課題がたくさんあるようで、なんとも奥の深い長靴の世界。同社には、専門業種の方々を引き続きサポートしつつ、ぜひとも長年の実績や技術力を生かし、一般ユーザーが大満足する画期的な新商品も生み出していってほしい。

佐藤 ちひろ ライター・エディター

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さとう ちひろ / Chihiro Sato

インテリア専門商社にて内装デザインや商品開発リサーチ等を担当後、美容系ECサイトや新聞生活情報面の編集に携わる。独立後は企業取材やライフをテーマにした企画を中心に執筆活動を展開。東洋経済オンラインでは「めちゃ売れ!コスパ最強商品はコレだ」「溺愛される商品にはワケがある」など消費財関連の連載執筆を担当。プライベートでは1児の母。

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