準備ゼロから東京マラソンを完走する方法 完走する人は、”マラソン算数”を知っている

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ちょっとだけ自慢できる”サブ4入り”を狙うなら

最後に、ただゴールするだけでは飽き足らない、という読者に向けて、「サブ4」(4時間切り)達成のヒントをお教えしたい。「サブ4」とは、一般市民ランナーの間ではちょっとだけ自慢できるタイムだ。その達成には、ペースの確認が重要だ。レースの途中にウォーキングを挟むと大幅にタイムをロスしてしまうので、①最後までキッチリ走り切ること、②1km5分40秒というペースを意識することがポイントになる。

筆者が日頃取材していると、漠然と走っている市民ランナーが多いと感じる。だが、それではレース本番で目標タイムをクリアするのは難しい。目標を達成するための、戦術がトレーニングにまったく入っていないからだ。サブ4を達成するにはどうしたらいいのか。こちらも逆算して考えてみよう。

42.195kmを1km5分40秒で走るには、中間点を2時間以内で通過しないといけない。この地点できつくなったら、サブ4は絶望的だ。そこで、本番前にハーフのタイムを上げておく。たとえば、ハーフを1時間45分で走るスピードをつけておけば、本番を1時間55分で通過しても、10分の余裕が生まれる。この“余力”を後半のハーフにつなげていくイメージだ。

また、ペースの上げ下げは体力を無駄に消耗する。順位を競うトップレベルのランナーでなければ、ペースチェンジは必要ない。反対に同じリズムで走るのが、最もエネルギー効率のよい走り方になる。

ただし、同じリズムで走って行っても、レース後半は疲れて、徐々にストライド(歩幅)が狭くなるので、終盤はどうしてもペースダウンしてしまう。そこで、終盤のペースダウンをあらかじめ計算に入れて、ハーフは1時間55分前後で通過するのがベストだろう。そのためには、ハーフ1時間55分(1km5分30秒ペース)を楽に感じられるような、ちょっと早めのペースを普段から意識して走っておくといい。

マラソンにはマネジメントが必要不可欠だ。ただ漫然と走るのではなく、考えながら取り組むことで、結果もついてくるし、楽しみも大きくなる。東京マラソンに出場する幸運なランナーはもちろん、落選した方も、この冬は自分で“作戦”を考えて、フルマラソンに挑戦してほしいと思う。
 

 

酒井 政人 スポーツライター

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さかい まさと / Masato Sakai

東農大1年時に箱根駅伝10区出場。現在はスポーツライターとして陸上競技・ランニングを中心に執筆中。有限責任事業組合ゴールデンシューズの代表、ランニングクラブ〈Love Run Girls〉のGMも務めている。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』 (oneテーマ21) がある。

 

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