フランスの経済エリート 葉山滉著
フランスには「カードル」と呼ばれる高学歴ホワイトカラー階層がある。同国の経済エリートで、大企業経営者の輩出源でもある。就業者2500万人のうち、ホワイトカラーは約7割、1割弱がカードルに該当する。この管理職・高度専門職の比率はこのところ一貫して増え、フランスの経済社会の中核を担う。本書は、そのカードルの雇用システムを中心に、養成、供給の仕組みから年金制度、労働組合まで、歴史に言及しつつ、聞き取り調査によって実態を明らかにする。
カードルの供給源は大学と、もう一つの高等教育機関であるグランドゼコールの役割が大きい。もともとグランドゼコールは高度な専門職業人の養成を目的とし、その淵源は18世紀にさかのぼるほど。最近は日本からの留学も少なくなく、特に女子学生の評判のよさを耳にしたという。
ホワイトカラーの国際比較研究は、日英米独が中心でフランスは手薄だったが、その穴を埋める労作。
日本評論社 1680円
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