パナ津賀社長「事業は合理的ではない」の本意 「東京に何でもかんでも集中はおかしい」

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やっている事業が必ずしも合理的なものであるとは思わない、と津賀社長は言う(撮影:ヒラオカスタジオ)
巨額損失を乗り切り、新たな主戦場として、電気自動車(EV)の成長に懸けるパナソニック。「パナ津賀社長が考える35事業部制のさばき方」(2月9日配信)に続いて、パナソニックの津賀一宏社長を直撃した。

創業者・松下幸之助の言葉とその意味

長田貴仁(以下、長田):パナソニックを取材すると、今もなお、創業者の松下幸之助さんを尊敬している方が多い。もっとも、企業文化が濃い会社なので、「他の宗派」の人は入社してこなかったのかもしれません。だから、良い意味でも悪い意味でも「金太郎飴」と言われた。しかし、創業から100周年を迎え、組織が巨大になりグローバル化してくると、松下幸之助精神も「セレモニー宗教」のようになってきている節も見られます。幸之助哲学を尊重されているとすれば、具体的にどのような形で経営に生かしておられるのでしょうか。

津賀一宏(以下、津賀):格好よく言えば、「経営理念は変えてはいけない」ということになろうかと思います。では、経営理念とは何なのか。その中で最も重要なものは何なのか。そのことを皆と議論しながら、潜在意識の中に入れていかなくてはならないのでしょう。

私も社長にならなかったら、あまり、そのようなことも考えなかったかもしれません。しかし、社長になると気にもなりますし、口に出して説明させていただく機会も増えましたので、十分理解しておく必要にも迫られます。その社長ですら経営理念を網羅的、体系的に理解しようとも思わない。むしろ、最も大事なものは何なのか、と。

たとえば、「素直な心」(松下幸之助は「素直な心とは、寛容にして私心なき心、広く人の教えを受ける心、分を楽しむ心であります。また、静にして動、動にして静の働きのある心、真理に通ずる心であります」と述べている。つまり、お互い人間が最も好ましい生き方を実現していくには、それにふさわしい考え方や行動をすることが大切で、その根底になくてはならないものが「素直な心」であるという)。

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