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ライフ #ブックス・レビュー

日本政府による「北朝鮮制裁」のひ弱な実態 制裁における「司令塔」すらいない

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――北朝鮮側の巧妙な制裁逃れに悔しい思いをされた経験も、赤裸々に書かれています。

北朝鮮は、密輸や資金洗浄などを長年手掛けてきたプロ集団だ。他方、各国の取り締まり当局の担当者は2~3年で交代する。これでは太刀打ちできない。各国で国連の窓口となる外務省と、貿易や金融等の制裁実務にかかわる関係省庁との連携も悪い。国家間の協力体制も不十分だ。

北朝鮮は法を破ってでも必死で制裁網を突破するが、取り締まる側は法を守りつつ制裁を履行しなければならないので、北朝鮮のスピードに追いつけない。たとえば、日本製品を北朝鮮へ密輸するネットワークの関係者を警察が把握していても、逮捕までに数年かかっている。

古川勝久(ふるかわ かつひさ)/1966年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。米ハーバード大学ケネディ政治行政大学院にて修士号取得。米アメリカンエンタープライズ研究所、米モントレー国際問題研究所、科学技術振興機構社会技術研究開発センター主任研究員などを経る(撮影:尾形文繁)

――本書には、北朝鮮への制裁に対する常任理事国の思惑をはじめ、制裁決議がうまく機能しない事例が紹介されています。

安保理決議には、制裁違反者に対する渡航禁止や資産凍結など、強力な制裁措置が盛り込まれているが、各国が履行しなければ紙の上の文言にすぎない。

決議を曲解して制裁を骨抜きにする、制裁違反の証拠を突きつけられても認めようとしない国は数多い。このような国が安保理のメンバーにいる。たとえばロシア。制裁違反容疑のロシア企業について捜査協力を要請すると、「違反を示す確定的な証拠がなければ協力しない」と返してくる。先に有罪が確定していなければ、捜査には協力しないとの姿勢だ。

また、ほぼすべての国連加盟国で、決議履行のための国内法は未整備だ。日本もそうだ。ある日本人が海外で国連制裁に違反しても、日本国内にはそれを処罰する法律がなく、おとがめなしとなってしまった事例がある。切歯扼腕の思いで傍観せざるをえなかった。

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