「制裁には意味がない」と引いてしまうのは大間違いだ
――北朝鮮に対して国連安全保障理事会は、輸出入の禁止をはじめとする強力な制裁を科していますが、北朝鮮の核・ミサイル開発はほぼ完了したとの見方も出てきました。制裁は、実効性があるのでしょうか。
制裁だけで北朝鮮に核・ミサイル計画を断念させるのは無理がある。本来、制裁は外交のためのツールだ。核・ミサイルにかかわるヒト・モノ・カネの動きを封じ込めて核・ミサイル増強のペースを抑えつつ、北朝鮮を交渉の場に引きずり出す。これが制裁の本来の目的だ。
過去の事例を見ると、核・ミサイルを放棄させるには、制裁を「外交的アプローチ」と組み合わせることが不可欠だ。さもなくば武力行使だ。たとえ北朝鮮の核・ミサイルを全廃に追い込めなくても、配備数を最小限に抑え込むことは、日本の安全保障上、死活的に重要だ。「制裁には意味がない」と引いてしまうのは大間違いだ。制裁を粘り強く着実に強化しないといけない。
ただ、日本と国益を共有する国は数少ない。制裁の現場は、各国の利害が衝突する国際政治のパワーゲーム最前線。「国連決議が採択されれば制裁は強化される」と幻想を抱いてはいけない。日本政府は、国連制裁の実効性を高めるべく自ら主導する必要がある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら