半導体装置の大再編は勝ち残りの「究極解」 大型統合を前に、中堅装置メーカーは戦々恐々
半導体テスターでシェア5割弱を握るアドバンテストの松野晴夫社長は、「半導体の高性能化に伴い、装置の開発費も重くなっている。いつ再編が起きても不思議ではなかった」と話す。同社も2年前に同業の米ヴェリジーを買収している。
半導体の製造工程は、成膜、塗布・現像、露光、エッチング、洗浄、テスターなどに分かれており、その中でアプライドとTELは露光とテスターを除くほぼ全分野に展開している。統合により、エッチングではシェアは6割近くに上昇するが、それ以外の重複は少ない。
研究開発の見直しなどによって会社側は初年度に2.5億ドル、3年間で6億ドルの費用削減効果とそろばんをはじく。野村証券の和田木哲哉シニアアナリストは「2社の統合は勝ち残るうえでは究極解」と評価する。
対して、業界6位で洗浄装置のシェア5割を握る大日本スクリーン製造は、「大きなシェアの変動はないと思う」と静観している。工程ごとにその分野を得意とする装置メーカーが存在するため、単純合算以上のシェア急伸は難しいからだ。
それでも、圧倒的なトップ企業の誕生によって、「これからはトップか2位までしか生き残れない」と危機感をあらわにする装置メーカーも数多い。中途半端なシェアしか持たないメーカーの間では、これを機に再編が加速しそうだ。
出資比率は68対32
東哲郎TEL会長兼社長は会見で、「日米でもまれに見る対等合併」と胸を張った。確かに新会社の取締役11人は、それぞれが5人ずつ指名し、1人を両社合意で選ぶ。ただしTELが会長と副会長を出すのに対し、CEOとCFOという実務トップはアプライド出身者が握る。新会社への出資比率もアプライド株主68%、TEL株主32%であり、アプライド主導であることは間違いない。
発表直後に開いた株式市場で、アプライドの株価は4.8%上昇。翌日のTELの株価は13%高となった。両社の決断は市場に大歓迎された格好だ。
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