アップルが「米国内投資加速」を宣言した事情 トランプ政権との「歩み寄り」を象徴している
アップルは1月17日、米国向けの投資を加速させることを同社のウェブサイトで発表した。この計画によると、今後5年間に米国経済に対して3500億ドル(約38兆円)の貢献を果たし、2万人の雇用創出を行うとしている。アップルの狙いとは何だろうか。
「設備」と「製造業」に投資する
アップルは2017年4月から、新本社「Apple Park」を実際に使用し始めている。9月12日に行われた新型iPhone発表イベントでは、取材陣をApple Park内に招き入れ、丘の上に建設されたSteve Jobs Theaterを公開した。
アップルはすでに全米各地にデータセンターを設置しているが、今回の発表ではネバダ州リノに既存のデータセンターの機能を拡張する施設を着工したことを報告したほか、新たなキャンパス(社屋)の建設にも言及した。この新しいキャンパスは、主に顧客サポートを行うことを目的にしているという。
また、アップルが2017年に運用を開始した米国向け先端製造業ファンドは、10億ドルから50億ドルに増額する。すでにiPhoneなどに採用されている強化ガラスを製造するコーニング社(ケンタッキー州)、顔認証に用いられるレーザー技術に強いフィニサー社(テキサス州)に投資を行った。
こうした投資は、将来のアップル製品に役立つ技術を持つ製造業に向けられている。その点で、実を取る投資といえるのだが、一方では米国製造業の再興を目指すトランプ大統領に対するアピールや、米国内の消費者に向けた優れたマーケティングの一環、と見る向きもある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら