子どもに英語を習わせる親の「致命的な誤解」 「自分が苦労したから習わせる」は親の言い分

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2つ目に、子どもは自分が主人公となって学ぶ特徴があります。たとえば親がテストなどで子どもの学びを評価しようとすると、子どもは親の顔色をうかがって勉強しようとしますが、なかなか自分の学びとして身に付けることができないのです。

学びがつねに右肩上がりで上達するということはありません。ぐんぐん伸びる時期もあれば、上達が見えにくく横ばいと感じられるときもあります。初めは効率が悪いかもしれませんが、続けると効率が上がり出すポイントがやってきます。それを大人はじっと見守る必要があります。成果が出ていない段階で子どもを評価してやる気をそいでしまうと、それまでの努力も無駄になってしまいます。

黒いクレヨンしか使わなくなった子ども

3つ目に、子どもは心が安定したときに、人との関係性の中でモノを学びます。心が不安定だと新しい情報を取り込むことができないのです。何か不安なことがあると足が先に進まないのと同じです。言語の習得に関していえば人間関係が重要で、子どもが心を開いて対する相手からでないと、言葉を学ぶことはできません。

こういう事例があります。神戸市の主婦のSさんは、長男Tくんをインターナショナルの小学校に入学させました。「神戸に住んでいるのだから、英語は身に付けてほしい」という考えからです。Tくんは公立小学校に通うお姉さんとは別でしたが嫌がることなく通学し、学校では順調な様子でした。

しかし、あるときからTくんに変化が現れました。担任の先生によると、絵画の際に黒いクレヨンしか使わず、また何なのかわからない絵を描いているというのです。絵はTくんの心理状態を表していたのです。家庭や生活環境とは異なる言語での通学に、Tくんの心は不安定になっていたのです。このような状況では英語を身に付けることもできません。その後、公立学校に転校できたのはTくんにとって幸せでした。

どの習い事にも言えることですが、一定程度習得するには時間がかかります。そして、そのためには、自分なりの動機やモチベーションを持つことが大事になります。大人であれば、「仕事で必要」「洋楽や映画が好き」といったモチベーションを持つことができますが、子どもが自ら目標設定をすることは容易ではありません。そこで大事なのは、そうした目標を持てる環境を作ってあげることです。

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