子どもに英語を習わせる親の「致命的な誤解」

「自分が苦労したから習わせる」は親の言い分

文部科学省が行った「小学校外国語活動実施状況調査」(2014)によると、小学校5、6年生や中学1年生は「英語が使えるようになりたい」と回答しています。英語を使って「海外旅行に行く」「外国の人と友達になる」「外国の人と話す」などをしたいそうです。

昨夏、アメリカで1カ月間生活した秋田県に住むKさん(中1・女子)は「ホームステイを終えて、私には目標ができました。次回会うときはホストファミリーともっと話をしたいです」と話していました。ホストファミリーと思うように会話ができなかった経験が、新たな目標につながったのです。

人との交流は子どもにとって冒険

本来、英語を学ぶことはそれ自体が目的なのではなく、英語で何をするのかが大切なはずです。たとえば、Kさんの場合は英語を使ってホストファミリーと交流を図ることが「目的」です。運動をしているのであれば、他国の選手とコミュニケーションを図ったり、遠征などを行うために英語を習得したいと考えるかもしれません。

中でも、語学習得において、他言語を話す人とコミュニケーションを図りたい、というのは大事な視点です。子どもが英語を学ぶときに、「いろんな国の人と話ができるようになりたい」といった目的を持つと、比較的長く英語を学ぶモチベーションとなります。なぜなら人との交流は、子どもにとって楽しみでもあり、未体験の冒険でもあるからです。

これまでの日本の英語教育では、多くの場合、英語の成績をあげることが目的でした。しかし、今後私たちが目指すべき英語教育の最終目標は、多様な社会において、異文化を持った人々と共存できるコミュニケーション能力を育成することではないでしょうか。

「言語は生涯にわたって学び続けるもの」とは、ヨーロッパの複数言語主義の考え方ですが、母語も外国語も習得の到達点はなく、一生かけて学ぶ価値のあるものです。子どもに英語を習わせたい、と考えている親は、まずは自らがこうした視点を持つことが重要です。そのうえで、子どもが自ら「英語を学んでみたい」と思えるような環境を作ることが求められます。

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