たとえば、コンサルティングファームで新規事業の立ち上げ・推進、経営改革などの助言を行ってきた人材が、大手金融機関に転職を果たしたケースがあった。その背景には「フィンテック」があり、既存のビジネスモデルは崩れ、大きく変化する事業環境に継続的に対応していく必要に迫られていた。そこで大手金融機関は、外部機関に委託していた新規事業の立ち上げ・推進、経営改革などの役割を内製化することで、迅速に対応しようと考えたわけだ。もちろん内製化によるトータルコストの削減も見込んでいる。
金融機関に限らず、あらゆる業界がこうした変化への対応に迫られており、それが業界の垣根を超えた人材の流動化を加速させているのだ。
製造業でも、デジタル化によるビジネス変革という「デジタルトランスフォーメーション」により、ITに知見がある人材が求められている。まず、デジタル化によるビジネスモデルの変化が訪れたのが電機メーカーで、その後、自動車メーカーや化学メーカー、素材メーカーなどに転職する事例も増えてきている。スキルを活かして、「企業の変革にチャレンジして、より社会に貢献できる仕事をしたい」という人は、異業種への転職の可能性を探ってみてもいいかもしれない。
内製化を目的とした採用が行われる一方で、当然、スピード重視で変革を行う企業もある。
「グローバルビジネス」を切り開く人材を渇望
自社での採用・育成はどうしても時間がかかるため、早期に変化に対応したい企業は、コンサルティングファームを利用するケースが増加している。企業の経営幹部から「今の変化は早い。費用をかけて解決できるなら、どんどん使えと指示している」という話を耳にする。こういった背景もあり、コンサルティングファームへの依頼が増えており、それにともなって、コンサルティングファーム企業では、そうした改革を提案できる人材を求めている。
また、変革を進めるうえで、経営課題の解決には必ずITが絡むことから、IT人材の採用を強化する企業も増えている。採用ターゲットはIT業界でITに関する知見・スキルを積んできた人たち。SIer(システムインテグレーター)といった、会社でSE(システムエンジニア)として働いていた人が、「経営課題に対して“芯を食った” 本質的なソリューション提案ができる」という点にやりがいを感じ、転職に踏み切る人が数多く見られ、年収1000万円以上での転職事例も相当な数にのぼる。
第2に「グローバル」のキャリアがあるかどうかもキーワードだ。グローバルでビジネスに携わってきた人は、年収1000万円以上での転職チャンスが豊富にある。中国、インド、東南アジアといった新興国での事業拡大を進める企業が、海外事業を推進できる人材の獲得に意欲的だ。
海外拠点の立ち上げや現地法人のマネジメントなどに携わってきた人たちは、日本に帰国すると裁量権が限定され、物足りなさを感じるケースが散見される。そうした人材が、裁量を与えられて、経営や事業に貢献していきたいと、転職活動を始め、現職以上のポジションで迎えられるケースがある。実際、電機メーカーで、欧州や米国で約10年間に渡り海外事業を推進してきた40代の担当部長が、異業種の売上高1兆円規模の製造業の統括部長として採用され、年収が400万円もアップする事例があった。
そして第3に「組織バランス」。だがその前に、年収1000万円以上での転職を果たす人の年齢に、注目しておきたい。
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