トランプは「北朝鮮への特使」に誰を選ぶのか ディ―ルの天才が描く対北朝鮮戦略とは?

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「ミュラー氏の罠」とは、憲法論で言い換えれば、ミュラー氏のバイアスの強い仕事ぶりが、「裁判所の正義」という聖域を侵食し、まさに「憲法の危機」を招きかねない状況だと言っていい。

前述のダーショウイッツ名誉教授は、トランプ大統領がFBI長官をクビにしたり、誰を捜査し、誰を捜査するなと命じるようなことは、米国憲法の「大統領権限」の範囲内のことであり、違法性はまったくないと明言している。ジェファーソン、リンカーン、ルーズヴェルト、(パパ)ブッシュの各元大統領は、いずれも同じことをやってきたと述べている。

裁判所の聖域へ侵犯するような行為があったか

では、ニクソンおよびクリントン元大統領だけは、なぜ弾劾嫌疑という深刻な事態になったのか。同名誉教授が指摘しているように、ニクソン、クリントン両氏のケースは、「証拠」隠滅などの裁判所の神聖な領域への明白に違法な侵犯行為があったからだとされている。トランプ大統領には、両氏のような裁判所の聖域へ侵犯するような行為はまったくない。

トランプ氏と両氏との間には、厳然たる違いがある。そのことについては、同名誉教授もはっきり解説している。にもかかわらず、米メディアの多くが、その「違い」を見て見ぬふりをしている、と筆者は考えている。

むしろ、皮肉なことに、裁判所の聖域への侵犯行為をしかねないのは、ミュラー氏の捜査手法ではないか。憲法に基づく検察官の仕事への要請をしばしば軽視するようなミュラー氏の捜査にこそ問題がある。同名誉教授は、その捜査の実態をテレビインタビューで列挙し、ミュラー氏を強く叱責している。

すなわち、ミュラー特別検察官について、①信用力がなく、②「反トランプ」という強いバイアスがあり、③ずさん(スロッピー)な捜査の連続というパターンがあるという3点を指摘している。以上3点は、「強い証拠力」を持つ形で、多面的にミュラー特別検察官を追い詰めつつあると、筆者は分析している。

「米国憲法」では、何と言っても「表現の自由」が最重要の1つになる。オバマ政権下では、多くの米メディアの論調が、当時、ハリウッドの中心的なスポンサーだった中国にべったりになっていた。「表現の自由」を盾にして、安易に中立性を失ってしまうのが、「ハリウッド支配のメディアの特徴」だった。

また、2016年の大統領予備選を通じて、バーニー・サンダース民主党大統領候補が強く批判したように、長年、「リベラル・エスタブリッシュメント」として、米メディアは「スーパー・エリート意識」が強いという現実も、社会的な事実として指摘されている。

トランプ大統領がぶち上げた「昨年のフェイク・ニュース・ワースト11」のようなシャープな批判もまた、まさしく米国憲法に基づく「表現の自由」の大切な一部である。「反トランプ」に偏するだけでなく、中立性を失わない「表現の自由」を、米メディアは再認識すべきだと筆者は痛感している。

湯浅 卓 米国弁護士

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ゆあさ たかし / Takashi Yuasa

米国弁護士(ニューヨーク州、ワシントンD.C.)の資格を持つ。東大法学部卒業後、UCLA、コロンビア、ハーバードの各ロースクールに学ぶ。ロックフェラーセンターの三菱地所への売却案件(1989年)では、ロックフェラーグループのアドバイザーの中軸として活躍した。映画評論家、学術分野での寄付普及などでも活躍。桃山学院大学客員教授。

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