北朝鮮が「大人しくなった」のに惑わされるな 南北朝鮮の関係改善は一時的なものだ
米国からの強い要望の影響を大きく受ける韓国の交渉担当者は、朝鮮半島の「非核化」、実質的には北朝鮮の非武装化を外交上の1つの重要な提案とした。北朝鮮によれば、これは議題に上がっていない。しかし、交渉の責任者は、北朝鮮が配備しているそれらの兵器が韓国の「同胞」ではなく米国を標的にしたものであることをぶしつけにも明言した。
北朝鮮が米国と韓国をどこまで押し分けられるかだが、これについては超えがたい限界があるというのが現実である。韓国の文在寅大統領が、北朝鮮との関係の刷新に対して、多くの前任の大統領以上に開かれた立場を取る可能性もあるが、韓国の防衛は依然として、米軍の存在、ひいては、米国から購入する兵器に依存する部分が大きい。
オリンピック後、良好な関係を維持できる保証はない
一部では、現在、冬季オリンピックが北朝鮮によるテロ攻撃やサイバー攻撃により被害を受ける可能性が危惧されているが、外交によりオリンピック中の恥ずべき事態や事件の発生の防止を目指すことが韓国で強く求められているかについては、懐疑的な分析もある。オリンピック後も良い関係が維持できるという保証はないのだ。
何はともあれ、オリンピック後には米国と韓国の軍事演習は再開されるもようである。韓国側はオリンピック開催に先立って軍事演習の一時的な延期を要求したものの、軍幹部らはこれらの演習を、韓国、米国、さらには日本の将来の攻撃に対する備えの維持にとって、非常に重要な部分であるとみなしている。
米国が昨年1年にわたって、見せしめとしての武力による強い威嚇、特に、単独での戦闘機による演習を実施して、必要があれば北朝鮮の核配備を攻撃する能力があることを実演により示したことから、韓国が目をそらしたくなるのは、もっともなことだろう。
だが、韓国が説き伏せられ、たとえば、国境をまたぐ複数の経済圏を再開するなどして、北とのより親密な経済的なつながりが再建されることは、米国側にとって好ましくない。北朝鮮の核配備の強化を遅らせたい米政府の戦略は、北朝鮮の経済的な孤立に依存するところが大きいのだ。