まさに最悪ですね。私も小林さんから聞いたときあきれましたが、今お読みになったみなさんもあきれたと思います。普通の良識のある大人だったらこんなことはしません。こんな人が周りにいたらと思うとゾッとします。
しかし、私はここまで小林さんの話を聞いて、「でも、よく考えてみると、実はこのような理不尽な行動を日頃からよくおこなっている人たちがいるな」と思い当たりました。それは誰かというと、”親”という立場の人たちです。
親のひどい言葉や理不尽な振る舞い
多くの親たちが、わが子に対してこの上司のような理不尽なことをしています。たとえば、私はこういう光景を見たことがあります。
ある駅ビルのエレベーターに乗ったとき、小学校の低学年らしき男の子とお母さんが、エレベーターに向かって走ってきました。お母さんが男の子の背中を押して、「急いで、急いで」と言いながら、2人はエレベーターの近くまで来ました。ところが、エレベーターが閉まり始め、お母さんがさらに男の子の背中を強く押したので、子どもがドアに肩をぶつけてしまいました。すると、すかさずお母さんが「何やってるの? ダメじゃないの」と言いました。
私は「お母さん、あなたのせいでしょ」と言いたいくらいでした。本来なら「ごめんね。だいじょうぶ?」と言うべきところです。このお母さんは、自分が子どもをエレベーターに無理に乗せようとしておきながら、ドアにぶつかったといって叱っているのです。自分が原因でそうなったのに叱っているのです。でも、もし相手が大人だったら、このお母さんもそこまでのことはしなかったはずです。
また、こういう光景を見たこともあります。あるイベント会場で食事の配膳をしているとき、子どもが豚汁のお椀を落として床を汚してしまいました。すると、お母さんが「何やってるの! 気をつけなきゃダメでしょ」と叱りつけました。でも、もしこの相手が大人だったら、そんな言い方はしなかったはずです。「○○さん、大丈夫ですか? 服、汚れなかったですか?」などと言いながら、甲斐甲斐しく片づけを手伝ったりするのではないでしょうか?
夏休みのイベントに参加した子が筆記用具を忘れて、お父さんに叱られているのを見たこともあります。お父さんは、「家を出るときに言っただろ。なんでそんなにだらしがないんだ!」などとぐちぐち叱っていました。でも、そのお父さんも、職場の会議中に同僚が「あ、資料を忘れた」と言えば見せてあげるはずです。「筆記用具を忘れた」と言えば、にこにこしながら「どうぞ、これ使ってください」と言いながら貸してあげたりするのではないでしょうか?
子どもに向かって「片づけしなきゃダメだろ! 片づけてないものは捨てるぞ」と脅しているお父さんも、会社ではそんなことは言いません。会社の同僚が「オレ、片づけ下手だから」などと言えば、「でも、アイデア力は抜群ですよ」などとお世辞を言うかもしれません。
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