いちいち、子どものやっていることに口出しするのもその一例です。離れているのだし、子どもが親に報告しなければ済むことなのにと思われる方もいると思いますが、そもそも成長過程で、親に何でも話すことをよかれとされてきた子どもには、その選択肢がありません。「親の言うことを聞いていればよい」と支配的な親に育てられてきた子どもは、自分で考えるということを放棄しがちです。親の圧力が強いと、それをはねのけることにエネルギーを費やすよりも、迎合することで丸く収めることができ、家庭内での生きやすさを獲得してきたからです。
“心配のあまり”というのは、親としての大義名分になりえますが、その原動力は、自分自身の寂しさからきていることも少なくありません。今まで、子ども中心の生活をしてきた親ほど、この傾向は強まります。自己満足のために子どもへ執着をしてしまうと、せっかくの子どもの自立の機会を失うことになります。手を出さずに見守ることは、手を出すことより忍耐が必要な行動です。それは成長期すべての時期に当てはまることでもあります。自分に忍耐がないのに、それを子どもに求めるのは、おかしな理屈です。子どもに忍耐強くなってほしいなら、まず自分の行動を振り返ってみましょう。
【距離感を保つ鉄則その1】
離れていても気にかけている、何かあったら援助することは伝えても、頼まれてもいないことをしたり、先回りして準備したり、いちいち口出ししない。
子どもに心配を掛けさせない
「空(から)の巣症候群」と称されることがあるように、子どもが手を離れてしまうと、多くの方が体験する喪失感があります。
「孤独感を強く感じる」「何もやる気が起きない」「思い出しては涙してしまう」「眠れないなど生活リズムが乱れる」「体調が思わしくない」などの症状が現れることがあります。折しも、40代を過ぎ更年期に差し掛かると、さらに強く現れて、これらの不調を改善するには、1年半から2年の月日を有するともいわれています。
長丁場になることを覚悟して、日々の生活を変えていくしかないのですが、悲しさや孤独が強まると、子どもに連絡を取りたい手段の1つとして、「具合が悪い」ことを過度に訴えて、家に帰ってこさせようとしたり、「今日も1人でご飯を食べました」などと、お涙頂戴エピソードをメッセージしたり、「いつもいつも思っています」「今何してる?」なんて、彼氏や彼女のごとき1日に何度も頻繁に連絡を取る方がいます。
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