加熱式たばこ「iQOS」は、どう売り込まれたか きっかけはTV番組「アメトーク」だった

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フィリップモリスは、iQOSを売り出す最初の市場として日本を選び、2014年後半に発売した。もし日本のような「優先的」市場で目標を達成できれば、「他の国にも良い基準」を提供できるだろう、と2014年の同社のRRPに関するプレゼンテーションで述べている。

同社は新製品を、意外な場所で発表した――太平洋側に港湾を持つ都市、人口200万人強の名古屋。トヨタ自動車の本社の近く、高層ビルと自動車生産工場の町。東京ほどの喧騒はなく、京都のような観光地でもない。

当初は低調なスタートだった。2015年6月付の同社の社内向けアジア地域報告では、日本市場に関する概要の最後にiQOSの販売数値が掲載されている。5月の売上高は、1月と比べ40%減となっていた。

フィリップモリスは2015年9月に販売地域を拡大した。10月の日本事業向け社内ニューズレターで、RRP担当幹部アショク・ラモハン氏は社員に対し「iQOS市場を作り上げるには時間がかかる。LAS(legal-age smokers)への浸透が必要」と指摘している。

きっかけはTV番組「アメトーク」

2016年前半までに、iQOSに関する話題は広がっていった。1つのきっかけは、日本のお笑い芸人だった。同年4月、人気のある芸人6人が「アメトーク」という番組に出演、司会がたばこについて話し始めると、フットボールアワーの後藤輝基が赤いiQOSを手に取って見せた。

「蒸気のようなものが口から出ているんです。煙が出ているわけじゃない」。他の5人の芸人も色鮮やかなセットの前で、それぞれiQOSを手に持って掲げた。

後藤は、使い始めた理由として妻が家の中でたばこを吸わせてくれず、外で喫煙しても近所の人が嫌がるからだ、と説明した。

もう1人の芸人、後藤の後ろに座るインパルスの板倉俊之は、公共の場でのiQOS使用について、周りの人にも「害がないらしいです」と話した。

この日、日本語の「アイコス」という言葉が、グーグル検索で急上昇した。

後藤と板倉が所属するタレント事務所の吉本興業はロイターの取材に対し文書で「フィリップ・モリス社、またフィリップモリス関連会社から一切協力費は頂いておりません」と回答した。放映したテレビ朝日は、放映の前後に、フィリップモリス社との接触はない、としている。

このテレビ番組での後押しは、フィリップモリスがiQOSの認知度を上げるために、ソーシャルメディアを使おうと取り組んでいる時に起こった。

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