加熱式たばこ「iQOS」は、どう売り込まれたか きっかけはTV番組「アメトーク」だった
なぜiQOSがたばこ規制の対象から除外されると話したのか、との質問にGrotto氏はロイターに対し、保健省は数年前に、電子たばこ会社との裁判で負けたため慎重になっている、と答えた。同氏はまたiQOSに対する規制問題について、当時は「理論的」だと考えたと語った。PMIの説明で、欧州か米国の規制当局から承認されるまでは、イスラエルでの発売はしない計画だと理解していたという。
Grotto氏の発言についてPMIは文書で「われわれは、PMIが外国の規制当局の承認を待つとは述べていない」とした。
イスラエルでは、iQOSは障害に直面していた。今年3月、Shabi Gatenio氏という活動家をリーダーとするグループが、保健省とPMIに対し、iQOSを従来のたばこと同じマーケティング規制を課さずに販売することをめぐり、裁判を起こした。イスラエル国内のたばこ会社も、政府とPMIに対し、同様の裁判を起こした。
テルアビブで行われたインタビューで、Gatenio氏は、PMIのリーチとアクセスの強さに驚かされたと語った。同氏が裁判所に訴えを起こしてから2時間半もしないうち、公表する前に、同氏はPMIのロビイングを担当するPolicyという会社の幹部であるErez Gil-Har氏からテキストメッセージを受信したという。ロイターが確認したそのメッセージは、Gatenio氏が、イスラエルの国内たばこ会社の「手先」として使われていると非難するものだった。Gatenio氏はこれを否定した。
Gil-Har氏は、コメントを拒否。指摘された国内たばこ会社Dubekもコメントを拒否した。
裁判所の判決が出る前に、保健省はそれまでの姿勢を一転させ、iQOSを従来のたばこと同じに扱う方針を示した。同省は米国の食品医薬品局(FDA)がどのようにiQOSを規制するかを見て、この決定を再検討する予定だとしている。
突然の方針転換は、PMIに混乱をもたらした。このことに詳しい政府関係者によると、PMIは20数人の女性スタッフを雇い、ある仕事にあたらせた。それは、テルアビブ近郊の倉庫で、手作業で何千箱ものiQOSのヒートスティックのパッケージからラベルを剥がし、より目立つ健康被害の警告に貼りかえるというものだった。その後、パッケージは出荷された。
コロンビア、デバイスは規制対象外
遠く離れたコロンビアでは、PMIは今年3月にiQOSの発売を開始した。音楽フェスティバルの会場では、白いバルーンが上げられ、そこには鮮やかな青と緑で「iQOS」の文字が目立っていた。
中南米で最初にiQOSが発売されたコロンビアでは、たばこの広告と販売促進活動は法律で禁じられている。保健省関係者によると、PMIは法律に則ってヒートスティックの販売の承認を得ることなく、iQOSを発売したという。
保健省の高官Jose Fernando Valderrama氏は「この製品はたばこから派生したものであり、保健省による事前審査が必要だ」と述べた。
PMIは、コロンビアの法律に従っている、との立場だ。12月7日付の文書で同社は、毎年11月の同省によるたばこに関する警告を受けて、たばこの承認を申請する必要があるとし、「来月に」それをするつもりだ、と回答した。