東京五輪まであと3年余り。国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのない五輪」を目指しているが、日本の受動喫煙対策は近年の開催国による規制と比べ、かなり立ち遅れている。では、現状で欧州はどのような防止策を行っているのか、対応強化をうたった厚生労働省案などを参考にしながら比較をしてみたい。
欧州の主要国では、基本的にレストランやカフェ、劇場や役所庁舎など「不特定多数が集まる屋根のある場所」での喫煙は徹底的に禁止されている。学校や病院では建物内だけでなく、敷地内でたばこを吸うことも許されていない。一方、道路での歩きたばこには寛容で、オフィスビルや駅など公共交通ターミナルの敷地から1歩外へ出れば自由に吸える。
欧州を訪れる日本人旅行客の中には「現地ではたばこが吸えないと思っていたのに、とてもおおらかで驚いた」という感想を漏らす人もいる。しかも、日本で普及している「携帯灰皿」といった気の利いた商品は欧州には存在しないので、スモーカーは吸い終わった吸い殻をその辺に構わず捨てていく。場所によっては「そこらじゅうが吸い殻だらけ」なこともしばしばだ。
受動喫煙対策、2020年に間に合うのか
日本ではおりしも、受動喫煙防止策の強化を含めた「健康増進法」改正の議論が進んでいる。
厚生労働省は5月15日、自民党内で開かれた厚生労働部会で、対応の強化を念頭に「飲食店内では原則禁煙」を目指す案を明らかにした。ところが自民党内では「飲食店での喫煙も例外で認める」とする意見が根強いことから、議論は真っ向から対立してしまった。
では、これらの双方の主張が欧州主要国の施策とどのくらいの距離感があるのか。
比較をしてみると、その「主張の差」が大きなことに気がつくはずだ。
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