JRが外国人訪日客向けに販売している周遊券「ジャパン・レール・パス(JRパス)」。この切符の在外邦人向け販売継続の是非をめぐり、JRが前言撤回、決定内容を180度転換するという珍しい事態が起きた。値段の安さから「日本人でも1度は使いたい万能鉄道周遊券」ともいわれるJRパスの現状について考えてみることにしたい。
JRパスは、筆者が「現状の鉄道周遊券は、訪日観光客に甘すぎる」で述べたように、短期滞在の外国人訪日客をターゲットとした鉄道周遊券だ。東海道・山陽新幹線の「のぞみ」と九州新幹線の「みずほ」に乗れない、という制限はあるものの、7日間有効のパスが2万9110円(2017年5月現在)で「東京―新大阪間を新幹線で1往復すればモトが取れる」という優れものだ。
1度は「日本人には今後売らない」と決定
あるJR元社員は、JRパスについて「たくさん売っても儲かるどころか、安く乗れる外国人客が増えるだけ。指定券売り場はもちろんのこと、機械に通せない特別な切符なので有人改札口も混み合う。やめられるものなら売るのをやめたい商品」と語り、不満をあらわにする。
そんな中、JRは昨年11月、パスの販売について新たな方針を突然発表した。
「『ジャパン・レール・パス』の日本国内での試験発売およびご利用資格の一部変更について」との表題で発表されたプレスリリースによると、骨子のひとつは「JRパスの日本国内での試験発売(短期滞在の訪日客なら、日本到着後でも買えるようにする)」、もうひとつは今年3月末で「外国で居を構えていても、日本国籍者には今後JRパスを売らない」というものだった。
従来の規定では、在外邦人であっても「日本国外に居住する外国人と結婚している場合」もしくは「居住国に永住権を持っている場合」となっていたが、JRはこれらの「一部の日本国籍者に対する特例」を廃止すると決めた。
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