日本の国内線を利用するとき、手荷物だけで搭乗した経験をお持ちの読者は多いのではないだろうか。カウンターで荷物を航空会社に預け、荷物室に搭載してもらえば、身軽に旅ができるのだが、「目的地に着いてから、荷物が出て来るのを待つのが面倒」「身の回りのものは近くに置いておきたい」、さらには「バッグに傷が付けられるのがイヤ」という人もいる。
ところが、カウンターで預ける受託手荷物(チェックインバゲッジ)の料金は、全員が負担しているのをご存じだろうか。
現在、日本で格安航空会社(LCC)以外の国内線に乗る際、無料で預けられるチェックインバゲッジの枠は、一部の例外を除き1乗客当たり20キログラムまでと定められている。受託手荷物の無料枠はもともと運賃に含まれている乗客の権利。それを行使しなくても何の問題もないのだが、その料金を強制的に負担させられている現状は合理的とはいえない。
欧州の空ではLCCが大きなシェア
というのも、欧州の航空会社の間では「荷物代に当たる費用」を差し引くことで運賃そのものを下げる動きが急速に進んでいる。「基本運賃には荷物代が入っていない」という格安航空会社(LCC)の運賃形態が広まる中で、メジャー航空会社(従来からある航空会社、フルサービスキャリアとも)に対しても、値下げを求める圧力になっているからだ。
欧州の空はLCCが大きなシェアを占めている。欧州で最もお客を乗せている航空会社は「欧州LCCの雄」ライアンエアー(アイルランド)で年間累計乗客数は1億3000万人。英LCCのイージージェットも7600万人弱を乗せており、この2社で2億人以上を運んでいる(2017年3月まで)。ちなみにメジャー会社ではルフトハンザ(ドイツ)グループが1億1000万人弱でトップだ(2016通年実績、数値は各社リリースによる)。
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