欧州のLCCはいわゆるレジャートラベラー(観光目的の客)だけでなく、予約変更の条件を緩くすることで、商用客の獲得にも成功した。つまり「目的地へ確実に行けさえすれば、LCCでも構わない」というビジネスマンが増えているわけだ。
このように、さまざまな層の利用者がLCCを普通に使うようになった今、メジャー会社も運賃形態を従来の「何でも含まれている」という形から、「顧客が欲しいものをバラ売りする」というLCC的ビジネスモデルへの変換を迫られる事態となっている。
たとえば、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の予約画面を見てみよう。エコノミークラスに複数のカテゴリーがあり、最も安い「エコノミーベーシック」について、予約サイトには「(運賃に含まれるのは)手荷物のみ」と明記されている。つまり、1泊2日〜2泊3日程度の週末トラベルに出かける人なら「荷物代を節約して、現地でその分おいしいものを食べよう」と思っても不思議はない。
同様のチケットの売り方は、エールフランスやルフトハンザも行っていて、それぞれ荷物代を差し引くような形でより低廉な料金で提供している。
荷物代として割り引かれる金額は?
では、メジャー各社は「荷物代に当たる費用」をいくら差し引いているのだろうか。試しに各社の予約サイトで「荷物の有無」による運賃の差額を比べてみた。
その差額は、航空会社と飛行距離、混雑状況によって異なるが、ロンドンから2時間以内の目的地に行く場合、おおむね「10ポンド(1350円)〜24ポンド(3240円)」程度となっている。航空運賃そのものが60〜150ポンドなので、荷物代が占める割合は10%以上に達していることになる。
仮に、このようなスキームを日本の国内線に持ち込んだ場合、たとえば「特便割引(搭乗3日前まで、もしくは前日までの購入で予約変更不可を条件にしたもの)」の運賃は10〜20%下がるかもしれない。宅配便が普及している日本の現状から見ると、「運賃からの荷物代分の割引」で浮いたおカネを使って、宿泊先に直接荷物を送付して、より身軽な旅行をしようと考える人も現れることだろう。
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