JRパス「在外日本人は使用不可」撤回の舞台裏 「ジャパン・レール・パス」の知られざる側面

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これに対し、多くの在外邦人は「廃止の措置は納得できない」として、JR各社のウェブサイトにある「お問い合わせ窓口」等を通じ、再考を求める意見を送った。それらに対するJRの回答を引用すると以下のとおりとなる。

これまで「ジャパン・レール・パス」の海外在住の日本人の方への発売に際してはご利用資格を確認してまいりました。しかしながら、永住権等の資格を証明するための書類については国際的に定型的な書類が存在せず、また国により資格取得の条件が異なっているほか、永住権制度の有無等による不平等が生じるなど、海外在住の日本人のご利用資格が限定されていることに対しましてさまざまなご意見をいただいております。これらの状況を鑑みまして海外に在住されている日本人の方への発売は終了することになりました。
なお、このたび発表させていただいたご利用資格変更につきまして、再度変更する計画はございません。ご要望に沿えず大変申し訳ございませんが、なにとぞご理解賜りますようお願い申し上げます。

日本に行ったことのない日本国籍者もいる

JRの発表を受け、「このままではいけない」とすぐさま立ち上がった有志たちがいる。JRに翻意を促すため、全世界にいる在外邦人に対してネット上で署名運動を進める一方、フェイスブックで積極的に問題点を提起、JRによる新方針の撤回や条件の変更を求める活動を始めたのだ。

フェイスブック上に立ち上げた「ジャパン・レール・パスを考える在外邦人の会」の発起人のひとりで、豪州のブリスベンに住む藤巻ギャレット由紀さんは、「署名活動や情報の提供は、在外邦人が既得権益を維持したいから始めたのではありません。外国に住む日本人は、周りにいる現地の人たちへ日本への渡航を勧める宣伝役とかガイド役を担うことがとても多いのです」としたうえで、「それなのに、JRさんは東京五輪を前に在外邦人へのパス販売を打ち切ろうなんて。どう考えてもおかしな判断としか思えなかったのです」と活動の意義を語る。

フェイスブック上で関連の情報を積極的に流すと同時に、ネット上で「JRに再考を促す署名」を呼び掛けたところ、11月からの5カ月あまりの期間におよそ70カ国に住む在外邦人から8000人分近い署名を集めた。

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