加熱式たばこ「iQOS」は、どう売り込まれたか きっかけはTV番組「アメトーク」だった
主要な目的は、政府にiQOSの利点を認めさせ、これまでたばこに課されたと同様の税率や規制を、iQOSには適用させないようにすることだ。
同社は、iQOSはタバコ葉を使っているが、燃焼させたり煙を出さないので、たばこ製品に分類されるべきではない、という新たな論法を打ち出した。
日本では、政府関係者に科学的根拠を示して、結果としてたばこより税率が低くなる形に分類するよう働きかけた。イスラエルでは、政府高官にiQOSの利点を説明するため同社幹部が飛行機で訪れた。コロンビア保健省は、フィリップモリスは許可を申請せずに製品を発売したとしている。
アプローチの概要は、ロイターが入手した同社の内部資料に記されている。
iQOSは「『喫煙するものではない』という証明が、最も重要な要素だ」。iQOSと他の新型たばこに関する2014年のパワーポイントの資料にはそう記されている。
この資料は、ロイターがすでに報道している。
https://www.documentcloud.org/public/search/projectid:%2033738-the-philip-morris-files
従来のたばこに代わる製品に
従来のたばこ会社、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ<BATS.L>と日本たばこ産業(JT)<2914.T>も、似たようなデバイスを発売している。しかし、iQOSの世界市場での売り上げには遠く及ばない。
PMIのアンドレ・カランザポラスCEO(最高経営責任者)はiQOSに大きな期待をかけている。メディアのインタビューで、彼自身、iQOSを使用していることを明らかにし、2016年9月の投資家との会合で、同社が「リスクを低減する可能性のある製品(reduced-risk product=RRP)」と呼ぶ新たなたばこのカテゴリーにおいて、「誰もが認めるリーダーになることを目指す」と述べた。ゴールは、RRPを最終的に従来のたばこに代わる製品にすることだと語った。
フィリップモリスは現在、米食品医薬品局(FDA)にiQOSを健康被害の少ないたばことして販売するための申請を行い、承認を待っている。ロイターの取材では、同社の臨床試験を担当した医師の一部にトレーニングやプロフェッショナリズムの点で不備があったと元社員や契約者が指摘している。