加熱式たばこ「iQOS」は、どう売り込まれたか きっかけはTV番組「アメトーク」だった

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コロンビアの首都ボゴタでは、数カ月前、街中のレストランの前でiQOSが販売されている場面が見られた。鮮やかなパッケージに入ったヒートスティック、ハチドリのエンブレムが歩道にディスプレーされていた。トレンディな一角、スターバックスとアップルショップの隣に、「iQOSブティック」の看板がかけられ、開店の準備が進んでいた。

ボゴタのPMI元社員は、PMIとしては、iQOSのデバイスそのものにはたばこは含まれていないため、iQOSはマーケティング規制にはかからないとの立場をとっている、と話す。

PMIはそういった立場をとっていることを認め、iQOSは電子デバイスなので、「それ自体は、現在の法律では、たばこ製品としての販売規制は受けない」としている。

日本では、iQOSの販売はすでに始まっている。PMIはiQOSのヒートスティックは第3・四半期の日本のタバコ市場の11.9%を占めるとしている。前年同期は3・5%だった。

税率が紙巻きたばこより低いことを考えると、同社の収益に与える影響はさらに大きなものとなる。iQOSのデバイスは、日本では1万1000円程度で売られている。PMIによると、日本のたばこは60%の税率がかけられており、マールボロとほぼ同じ価格で販売されているiQOSのヒートスティックの税率は51%だ。

PMJ社長、元厚生労働大臣政務官を訪問

PMIは休むことを知らない。同社の日本法人フィップモリスジャパン(PMJ)のポール・ライリー社長は今年1月、元厚生労働大臣政務官で、厚生労働政策に影響力を持つ高階恵美子参院議員(自民)の事務所を訪問した。議員会館7階の事務所では、動物のぬいぐるみや健康食品を推進するグループのポスターが飾られていた。

高階氏によると、会話の中でライリー氏はiQOSについて説明したという。後日事務所に送られてきた資料には、iQOSは有害物質のレベルを従来のたばこと比べて90%以上低減する、と示されていた。

ロイターが高階氏を8月にインタビューした際、ライリー社長のメッセージは同氏にしっかりと命中していたようだった。

もしPMIの主張する科学的根拠が実証されれば、と高階氏は話す。「そのことを(国民に)きちっと伝える努力をしていかなければいけない」。

(翻訳:宮崎亜巳 編集:石田仁志)

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