「乳房と別れを告げた女性」が選んだ生き方 幸せを手に入れた矢先の「乳がん宣告」

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乳がんになると生き方や人生観、家族との関係はどのように変わるのか(撮影:尾形文繁)
もし、乳がんになって乳房を摘出することになったら――。今や女性の12人に1人が乳がんになるといわれているだけに、女性であればその可能性を考えなくてはならない。
女性マネジメントのプロで、起業家の川崎貴子氏も、2016年10月に乳がんが発覚し、右乳房の全摘手術を受けた1人だ。仕事も家庭も順風満帆、40代にしてついに幸せを手に入れた矢先の「乳がん宣告」だった。
乳房の温存も不可能ではないと担当医に示唆された川崎氏だが、再発可能性などを考慮して迷わず全摘を選択。その後、乳房を「再建」し、現在もホルモン治療を行いながら、バリバリ働いている。40年以上生活をともにした「おっぱい」に未練はなかったのか。そして、がんによって家族との関係や人生観はどう変わったのか。乳房再建ってどんな感じなのか……。
乳がん発覚から術後の治療までを綴ったエッセイ『我がおっぱいに未練なし』を上梓した川崎氏と、乳房再建に積極的に取り組むセルポートクリニック横浜院長で医学博士の辻直子氏との対談を前後編でお届けする。

人間ドックに3、4年行ってなかった

川崎貴子氏(以下、川崎):乳がんだと発覚したのは、当時4歳の次女が、授乳が終わってもうだいぶ経つのに急に右のおっぱいだけ寝る前に吸うようになったことですね。それで「おかしいな」と思っていたら、乳腺炎のようなしこりが見つかった。

すぐにドックを予約して全身を診てもらったら、間違いなくしこりがある。大きい病院に紹介状を書いてもらってがんだとわかりました。ひと月くらいの間のできごとです。それまで忙しくて人間ドックに3、4年行ってなかったんですよね。

――手術まで決断がとても早いことに驚きました。

川崎:もともと悩まない性格というのもあるんですけど、いろんなことが重なっている時期で、正直なところ「悩んでいる時間がなかった」ということが大きい。会社経営、新規事業、執筆、講演。保育園児の次女はまだ情緒が安定しているとは言い難いし、長女は思春期ですぐ何かやらかす。

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